20秒前 ページ30
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「……」
「……」
お腹に回った腕の中で顔だけを後ろに向ける、も限界がありちゃんと傑の顔が見られない。
「傑、」
「…」
「…すぐ「A」…は、はい」
いつになく真剣な声色に思わず返事が堅くなる。
「それ、わかってて言ってる?」
「…」
「ねえ」
腰を捕まれ、膝の上で反転させられた。
目の前には傑。完全に捕えられた獲物状態。
その目があまりに本気で体が強張り、緊張からかお腹も痛くなってきた。
「黙っててもわからないよ」
大きな手で頬を包まれ、体だけでなく視線まで逃げ場を失った。
「…え、っと…あの」
「…」
「なんていうか…その、」
「…」
「……準備ができたと言いますか、」
その瞬間ぐるりと視界が揺れ、気づくと傑の向こう側に天井が見えている。
「…いい?」
「い、今から…?ケーキ、食べてから「ケーキなんかどうでもいいよ」…わたし、ケーキ食べたい、し…コーヒーぬるくなっちゃう…」
「…」
「…それに、するなら…お風呂入りたいし…」
その言葉に少し考える素振りを見せた傑。
「…そうだね。楽しみは一番最後に取っておこう」
背中と床の隙間に腕を滑り込ませ私を抱き起こす傑の表情があまりに嬉しそうで。
私はどれだけ待たせていたのかと心で深く謝った。
「どれがいい?」
「んー…タルトにしようかな。傑はティラミスでしょ?」
「ご名答」
「お皿取ってくるね」
「ありがとう」
立ち上がるとズキ、と痛むお腹。
「…」
……あれ。
「ん?どうかした?」
「…いや、なんか」
………なんか、
お皿を取り、傑に渡して「…ちょっとお手洗い行ってくるね」と伝える。
「…嫌な予感、」
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カケオレ(プロフ) - おめでとう夢主ちゃん。夏油と幸せになってくれ (7月22日 10時) (レス) @page50 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
加穂(プロフ) - 始めまして。こちらの作品読ませていただき夏油傑がもっと好きになりました!続きを読ませて頂きたいのですがパスワードを教えて頂いてもよろしいでしょうか? (7月15日 22時) (レス) @page50 id: 45a8770aec (このIDを非表示/違反報告)
モモ - こちらの作品読ませていただきました!すっごく面白かったです!パスワード作品も読んでみたいのですが、教えていただきたいです! (4月30日 23時) (レス) id: fdeb613541 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こちらの作品を読んで傑が更に好きになりました!ありがとうございます😭好きすぎて何度も読み返してしまいました😭過去の作品も読んでみたいのですが、パス教えていただけないでしょうか?🙇♀️💦 (2023年2月26日 17時) (レス) id: df988bb267 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 天才…ありがとうございました…!! (2022年11月12日 23時) (レス) @page50 id: 6ec9f3ee23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七 | 作成日時:2021年5月3日 20時