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「…早く入りなよ」
「本気?」
「冗談言ってる顔に見える?」
「…ギリギリ」
「私は別に今すぐ帰ってもいいんだけど」
「ごめんごめんごめん」
玄関前でこのやり取りを繰り返すこと10分。
さすがの傑もそろそろ帰りたそうにしてるけど、私は帰りたくない。この扉を開けてしまえば家なんだけど、絶対に開けたくない。
「…ねえ、やっぱり傑の家に「ダメだ」…」
…どうしよう、嫌だ。
本当に嫌だ。
「…もう野宿でもいい気がしてきた」
「こら」
「だって〜…」
傑の「2人でちゃんと話しなさい」、そんな言葉も右から左。ちゃんと話しなさい?絶対無理、冷静に話し合える気がしない。
「…傑、私やっぱり野じゅ「ありがとうございました!」…え、」
野宿を決心し傑に伝えようとした時、玄関が開いた。勿論、私の家の玄関だ。じゃあこの「ありがとうございました!」は誰の声?悟はこんなに声高くない。
「……は、なんで」
「わ、びっくりした〜!2人揃ってこんなところでどうしたんですか?」
「…い、いや…それ、こっちのセリフ…」
ここ、ちゃんと私の家だよね?
…うん、部屋番号に間違いはない。
じゃあなんで?
なんで私の、
…悟と私の家から紀子さんが出てくるの?
「紀子、夜中にそんな大きな声出さな……」
どうしてそんなに当たり前みたいに紀子さんの名前を呼んでるの?
「…A、」
「…ご、ごめんね!タイミング悪かったかな!」
「これは「ほんとごめん!」いや、だから…っ、」
私の手首を掴む悟の手を"嫌だ"と感じてしまった。
初めて悟の手を振り払ってしまった。
「ごめん、」
…泣きたくないのに、
泣きたくなんかないのに、涙は勝手に溢れてくる。
「っ、A…」
私の涙を拭おうと手を伸ばす悟。
そんな悟を止めたのは私でもなく紀子さんでもなく、傑だった。
「私が言った意味、理解出来なかったみたいだね」
「は…」
「…君がそんなだと、我慢しなくてもいいのかと勘違いしてしまうよ」
「…何言ってんの、」
「そのままの意味さ」
私を隠すように立つ傑と、怒ったような声色の悟。
「悪いけどAをこのまま帰すわけにはいかないな」
「…そんなの僕が許すとでも?」
「君の許可は必要ないよ。Aの顔を見ればわかるだろ?」
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天 - 2章楽しみすぎますっ!!!!!!!! (2021年3月27日 19時) (レス) id: 323c2d6c78 (このIDを非表示/違反報告)
小五口 - 毎日更新されるこの作品を糧に生きてました!!(大袈裟)2章も楽しみです!!!ああぁ、こんなクズ五条も私は大好きだああああ (2021年3月27日 18時) (レス) id: bc1e606e87 (このIDを非表示/違反報告)
星宮 - めちゃくちゃ楽しんで読んでました!100点満点中100点です! (2021年3月27日 14時) (レス) id: 043cbe2e87 (このIDを非表示/違反報告)
七(プロフ) - なおけろんさん» なおけろんさん!コメントありがとうございます!!好きですか!?フェチに刺さったようで嬉しいです(T_T)是非最後までお付き合いお願い致します(^-^) (2021年3月26日 14時) (レス) id: 58d20c225a (このIDを非表示/違反報告)
七(プロフ) - 葵瑠さん» 葵瑠さん!コメントありがとうございます!!なんと!?前作から私にお付き合いしてくださってるのですか!?嬉しすぎます(T_T)是非最後までお付き合いお願い致します(T_T) (2021年3月26日 14時) (レス) id: 58d20c225a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七 | 作成日時:2021年3月17日 20時