第三話 ページ4
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「何が嬉しかったわけ?」
「…Aが屋敷に来たいと言ってくれたことが、嬉しかった」
「…姉さん、やっぱり冨岡さんは駄目だよ」
…今はそれどころではない。
無一郎の言葉は右から左だ。
「…ぎ、義勇さん」
「なんだ」
「あの、私が…私が義勇さんのお屋敷に、遊びに行きたい、って言ったの、う、嬉しかったんですか…?」
「嬉しかった」
ああどうしよう。
今すぐ義勇さんに抱きついてしまいたい。
嬉しかった、そう言った義勇さんの口元はほんの少しだけ口角が上がっていた。
心做しか目じりも下がっていたように見えた。
「嫌われてないと感じた」
「義勇さんは嫌われてなんかないですよ!」
「冨岡さんは嫌われてるよ」
「俺は嫌われてない」
「私は義勇さんが好きです!」
「姉さん」
「無一郎がなんと言おうと義勇さんが好きです!!」
「…姉さん、僕のせいにしないでね。僕は止めたからね」
「え、?」
突然、訳の分からないことを言われた。
僕のせいにしないでね?
「"無一郎がなんと言おうと義勇さんが好きです!!"」
「っだ、ぁ…!?」
私の声真似をする男はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら庭から室内に侵入してきた。
そんな男に思わず変な声が漏れた。
「宇随さん、また塀登って入ってきたでしょ」
「元忍びだからなあ。それに登場は派手な方がいいだろ!」
「なんの為に門があるの」
「派手な俺には時透邸の門は地味すぎるんだわ」
「もう派手派手煩いから早く帰ってよ」
今回ばかりは無一郎の味方をしよう。
「Aはまだ冨岡にお熱なのか?こんな奴のどこがいい?地味すぎるだろ」
「早く帰ってください」
「冨岡は地味だからな、俺みてえな派手な男にしとけ!」
「義勇さんを馬鹿にする人は早急にうちから出て行ってください」
本当に腕かと疑う程に太い腕を力一杯に叩き、宇随さんを外へ追い出す。
「仮にも上官の俺へこんな態度をとるとは生意気な野郎だぜ…」
「何度でも言います。義勇さんを馬鹿にする人は早急にうちから出て行ってください。そして私は野郎ではないです、女です」
「ほんっと可愛げのねえ奴だな!」
「義勇さんにだけ可愛いと思われればそれで良いので!ではさようなら!」
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シロヌコ(プロフ) - 無一郎の姉を取られたくないと抵抗するのが年相応の子供っぽくてとっても好きです (2022年9月19日 1時) (レス) @page11 id: 5f3cb32639 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 勒城さん» コメントありがとうございます(^-^)!晴彦は長男なので夢主のことを守って上げねば!と思ってます、可愛いです(^ー^)vありがとうございます!!! (2020年12月14日 8時) (レス) id: 58d20c225a (このIDを非表示/違反報告)
勒城(プロフ) - はるひこ口悪いのめっちゃ好きですwwwwこれからも頑張ってください! (2020年12月6日 3時) (レス) id: 0fd2e5e0a5 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - Raiさん» Raiさん!コメントありがとうございます!お返事が遅くなってしまい申しわけございません(T_T)よくわからないのですがURLを貼り付ければ良いのでしょうか?参加させていただきますね(^-^) (2020年11月20日 3時) (レス) id: 58d20c225a (このIDを非表示/違反報告)
Rai(プロフ) - 「あなたの小説読ませて下さい。」「https://uranai.nosv.org/u.php/event/kouooue/」やり方はそのままペーストに画面通常検索など出て来ると思います。 (2020年11月17日 20時) (レス) id: 5708791899 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち x他1人 | 作成日時:2020年10月29日 0時