第二十話 ページ21
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宇随さんに放り出されアテもなくふらつく。
あんなこと言った後で義勇さんのところへノコノコと行けるわけがないでしょう。
「けど、会いたい……」
「あ!Aさん!」
心の声が小さく漏れていたことに気づき慌てて口を抑えると、後ろから可愛らしい女の子が駆け寄ってきた。
「アオイ」
「こんなところでどうしたんですか?」
「んー…ちょっと散歩。アオイは?」
「しのぶ様に頼まれた物を買いに行ってました!」
ほら、と言われ手元を見ると大量の包帯やらガーゼやらが入った紙袋。
「重そうだね、持とうか?」
「いえ!Aさんにそんなことさせられません!」
「そう?」
「はい!あ、しのぶ様がAさんのこと心配していたので少しだけ顔を出していただけませんか?」
「今から?」
「お忙しいですか?」
「ううん、そういう訳ではないんだけど」
「では行きましょう!」
アオイ持ち前の勢いに圧倒されて引き摺られて行く。
今、蝶屋敷にはあの少年がいるのに……
「只今戻りました!!」
屋敷へ上がり、しのぶがいるであろう診察室へ直行。
「アオイ、ありがとう……あら、」
アオイへのお礼と同時に書き物をしていた顔を上げ、私と目が合う。
「A…」
「では私は失礼しますね!」
まるで台風のような子だなと思いながら用意された椅子に腰掛ける。
「昨日の今日で顔が窶れたわね」
「痩せたのかな」
「食事は?」
「気分にならなくて」
「気分にならなくても食事は摂りなさい」
「…」
「……冨岡さんには?」
「…会ってない」
「そう……」
沈黙が私としのぶの間に流れる。
その沈黙は来客によって破られた。
「胡蝶様…診てもらえませんか…」
今にも倒れそうな程に顔色が悪い隊士。
「…」
「いいよ、診てあげて」
私に気遣ったのか返事を渋ったしのぶにそう言うと、眉を下げて"ごめんね"と。
診察室を出て少しだけ蝶屋敷を散策。
相変わらず人の出入りが激しい場所だ。
特に何かあって来た訳じゃないからもう帰ろうと思い踵を返すと、恐らく患者がいるであろう部屋から騒がしい声が聞こえてきた。
本当に怪我人…?と疑う程に騒がしい声だ。
「炭治郎ぉぉぉ!!!俺の手足はいつ元に戻るわけ!!?ねえ!?やだよもう!!!あの薬飲みたくないんだよ!!!!苦いの!苦すぎるの!!!」
…炭治郎?
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シロヌコ(プロフ) - 無一郎の姉を取られたくないと抵抗するのが年相応の子供っぽくてとっても好きです (2022年9月19日 1時) (レス) @page11 id: 5f3cb32639 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 勒城さん» コメントありがとうございます(^-^)!晴彦は長男なので夢主のことを守って上げねば!と思ってます、可愛いです(^ー^)vありがとうございます!!! (2020年12月14日 8時) (レス) id: 58d20c225a (このIDを非表示/違反報告)
勒城(プロフ) - はるひこ口悪いのめっちゃ好きですwwwwこれからも頑張ってください! (2020年12月6日 3時) (レス) id: 0fd2e5e0a5 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - Raiさん» Raiさん!コメントありがとうございます!お返事が遅くなってしまい申しわけございません(T_T)よくわからないのですがURLを貼り付ければ良いのでしょうか?参加させていただきますね(^-^) (2020年11月20日 3時) (レス) id: 58d20c225a (このIDを非表示/違反報告)
Rai(プロフ) - 「あなたの小説読ませて下さい。」「https://uranai.nosv.org/u.php/event/kouooue/」やり方はそのままペーストに画面通常検索など出て来ると思います。 (2020年11月17日 20時) (レス) id: 5708791899 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち x他1人 | 作成日時:2020年10月29日 0時