また明日。《２》

♯88 ページ38

あまりにも温泉が気持ち良すぎて、かなり長い時間入ってしまった
パンパンだった顔も、汗をかいて少しシュッとした気がする

軽くメイクをして、着慣れない浴衣を整えて部屋に戻った

まだ尊人さん帰って来てない？
私より長いなんて、どれだけ温泉好きなんだろ
またひとつ、尊人さんの好きな物を知ることが出来て、嬉しくなった

お茶でも飲もうと思ってふとテーブルを見ると、小さなメモが置いてあった


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ごめん急用が出来たから先に東京帰ります
本当にごめん！
この埋め合わせは必ずするから！
旅行費用は払ってあるからこのまま今日はここに泊まってゆっくりして

誕生日おめでとう！愛してるよ

尊人
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…………はい？
どういう事でしょうか……？

メモの横には見慣れたTiffanyの袋が置いてある
尊人さんからのプレゼントはいつもTiffany
そう言えば陸くんも、私が持ってる尊人さんから貰ったのと同じの着けてたな………

開ける気にもならず、しばらくそのまま動けなかった

食事が運ばれて来て「お連れ様はまだ温泉ですか？」なんて聞かれちゃって
一瞬“はい”って言おうかと思ったけど、どうせバレるし本当の事を言った


「急用で東京に帰りました。お食事は2人分いただきますので(笑)」


仲居「左様でございますか。お忙しいんですね…ご無理なさらず残していただいて結構ですのでお気遣いなさらないで下さいませ」


「ありがとうございます…いただきます(笑)」


海鮮づくしのフルコース
これはね、一人で食べるものじゃないよ？

シーンと静まり返った部屋
小さいお鍋がグツグツいってる音だけが聞こえる

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