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誰のせい ページ16

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「この3人でご飯ってのも中々珍しいですよね」

「ね。Aさん誘ってもいっつも来てくれないし」

「私の付き合いが悪いみたいな言い方やめてくれる……」



……私は、弱い。何がって心が。何にって押しに。


オフィスでの攻防から約10分。あれだけ行かないという固い決意を抱えておきながら、現在の私はしっかりとファミレスの座席に腰を下ろしていた。

目の前には渡辺くん。左隣には山本くん。要は、2人にうまく丸め込まれる形でこの場に連れ出されてしまったわけである。



「というか山本さんとAさんってそんなに仲良かったんですね。2人でいるとこ初めて見たかも」



メニューを広げつつ渡辺くんがそう一言。……いや、全くもってその通り。


今朝のプロポーズの件でそれまでの前提が全て覆ってしまったけれど、私と山本くんはただの同僚だ。友達ですらなく、ご飯を共にするのだってこれが初めて。

故に山本くんのあの言葉の意図が読めないというか、……その、好き、というのもうまく掴めないし。


返答に困ってちらと山本くんを見やる。

綺麗な横顔。メニューから顔を上げて渡辺くんを見るその睫毛が、女であるはずの私より長かった。



「僕がAさんに構ってもらってるだけだけどね」

「山本さんが?」

「そ。仲良くなりたくって」



そんな、当たり障りのない答え方。相変わらず山本くんの意図は見えなくて、じろじろ見てもわからないからさっさと目を逸らしてしまった。


昼ご飯のメニューは数分もしないうちに決まった。渡辺くんはオムライス、私と山本くんはそれぞれパスタと、どうも幼さが抜けないラインナップ。

ついでにドリンクバーとスープも付けた渡辺くんはいの一番に飛び出し、その場に残るは、当然。



「………」

「Aさん?」



……私の重い重い沈黙と、やけに楽しげな山本くんの姿であって。


……くそ、渡辺くんがいるからまだと思っていたのに、これは予想外だ。こんなことならドリンクバーを付けておくべきだった。

しかし左隣に意識が向きすぎていた私がそんな機転を利かせられるはずもない。見なくたってわかる、山本くんはこの状況を面白がっている。



「なに」



淡白な二音。別に冷たくしたいわけじゃない。彼に真剣に向き合うとどうも慌ててしまって、隠すのに必死なだけなのだ。



「いや、急に黙っちゃったからどうしたのかなって。緊張してます?」



……、本当に、誰のせいだと思ってるんだ。






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(プロフ) - すごく好みの雰囲気です…。更新楽しみに待ってます!!頑張ってください (2021年2月23日 23時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
オレオ_ッピ推し(プロフ) - 何この話どタイプ……気長に更新を待ちます。( ºωº ) (2020年11月5日 1時) (レス) id: dfcf88994a (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 私も大好きです…更新楽しみにしてます( ^ω^ ) (2020年10月29日 21時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
こあら(プロフ) - 何これ好きぃ……………… (2020年10月19日 8時) (レス) id: df8e2a19f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:290円 | 作成日時:2020年10月9日 19時

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