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気にしない ページ11

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───結局、真っ当な言い訳を持ち合わせていない私はいいえと言えず。


そして断る理由もないであろう伊沢もそれを了承し、伊沢は堂々と私の隣に腰を下ろした。

相変わらず物の多いリュックがドンと足元に置かれる。伊沢は今朝財布を忘れかけた話を始めたけれど、こっちは正直それどころじゃないのだ。


……何かもう、できるだけ避けようと思っていた人が隣にいる状況って何だろう。滑稽すぎる。いっそ笑ってくれ。

そもそも店くらい伊沢が勝手に決めてくれたって良いし、私もどこだって文句は言うまい。変なところで個人を尊重しないでほしい。



「てか普通に考えて明日になったら30ってヤバくね?俺まだ全然20代の気持ちなんだけど」



果てには伊沢の方から「30」なんて単語が出るだけでびくりと反応してしまう始末。情けなさすぎる。



「……いや、そりゃ伊沢はそうでしょ。まだ子供だし」

「俺のことなんだと思ってんだよ」

「伊沢」



好きなことは好きなだけ極める様も落ち着きのないところも、大体子供と相違ない。……あと意味不明な約束を突然取り付けてくるところも。

そんなことを言っていたからだろう、少し離れた席から福良さんが「早めに決めといてよ」と釘を刺してきた。こわい。


というかそうだ、そもそもこんなことを話している場合じゃない。私はさっさと店を決めてさっさとこの場から離れねばならんのだ。

……いや、別に今日一日伊沢から離れたところでどうにかなるわけじゃないんだけど。一応ね。精神衛生上。


福良さんの言葉にはーいと元気良く返事をした伊沢は、早速とばかりに携帯を取り出した。

どうやらいくつか目ぼしい店を見つけているらしい。肉が食いたいだ何だと自分の要望を交えつつ、画面を私の方へと差し出す。



「ここ。割とメニュー多くってさ、あとチーズが美味いらしい」



食べログ評価3.2。外観がお洒落な店だった。

伊沢の指が画面を滑る。いくつかの画像を交えつつアピールポイントを熱弁されるが、正直全く耳に入ってこない。


近すぎるのだ。この男。何がって距離が。


パーソナルスペースという言葉の意を問いたくなってしまうほど近い。わざわざ画面をこっちに向けるせいで余計近いし、何より声がまずい。近い。

気にしないようにすれば余計気になってしまう。例えば声のトーンだとか匂いとか、息遣いとか、───いや私は変態か!!30間近の女が何考えてんだ、ほんとに!






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(プロフ) - すごく好みの雰囲気です…。更新楽しみに待ってます!!頑張ってください (2021年2月23日 23時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
オレオ_ッピ推し(プロフ) - 何この話どタイプ……気長に更新を待ちます。( ºωº ) (2020年11月5日 1時) (レス) id: dfcf88994a (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 私も大好きです…更新楽しみにしてます( ^ω^ ) (2020年10月29日 21時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
こあら(プロフ) - 何これ好きぃ……………… (2020年10月19日 8時) (レス) id: df8e2a19f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:290円 | 作成日時:2020年10月9日 19時

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