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誕生日 ページ4

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慣れた手つきで身支度を終えてしまう自分が余計虚しい。

結局バスと電車に揺られてオフィスに到着したのは6時を少し過ぎた頃。通勤ラッシュにも早く、快適な通勤となった。



「おはよーございまーす……」



扉を静かに開け、小声ながらも形式的に挨拶。

確か今日は泊まり込みで作業をしている人がいたはずだ。流石に寝ているだろうし、疲れているところを起こすのは忍びない。


そろりと忍者か泥棒ばりの忍び足で廊下を抜け、いつものオフィスに顔を出す。

大抵泊まり込みの人はこの部屋のソファで眠っているから、起こさないように別部屋に書類を持って行こうか。


───なんて、そんなことを思っていたのだけれど。



「えっ」

「………あれ、Aさんだ。」



そのオフィスでカタカタとパソコンをいじる後輩───山本くんを見て、思わず間抜けな声が出た。



「今日早いんですね。お仕事ですか?」



にこ、と首を傾げる山本くん。ひとまずこくこくと頷きだけを返しておけば、へえ〜と山本くんが相槌を打つ。

確か泊まり込みで作業をしていたのは1人だけ。玄関に靴はひとつしかなかったし、となれば山本くんがその1人……なんだろうけど。



「……山本くん、起きてたんだね。てっきり寝てると思ってた」

「あー、いや。寝たかったけど全然終わんなくって。もうすぐなんですけどね。」



そう言うと困ったように笑い、壁掛けの時計を見ては「そっかあ、もうこんな時間かあ……」と呟く山本くん。

……疲れた様子から見るにあまり寝ていなさそうだ。頑張ってるなあ。


ひとまず私は山本くんの斜向かいに腰掛け、荷物からノートパソコンとファイルを取り出した。

タスクは大量も大量で、我ながら物凄い量の溜め込みだ。29にもなって何してんだろう。夏休みの小学生じゃないんだから。



「……あ、そういえば。」



そう書類の量にげんなりしていれば、パッと顔をこちらに向けた山本くんと目が合った。

とりあえず首を傾げてみる。何だか嬉しそうだ。何だろう。



「Aさん、明日誕生日ですよね。おめでとうございます」



……と思ったら痛いところを突いてきた。せっかく忘れかけてたのにと文句を付けそうになったが、山本くんは悪くない。



「あー……、まあ、そうだね。」



思わず飛び出る上擦った返事。はははという笑い声は面白いくらいに乾いていて、何だかもう逆に笑えてきた。……いや、何一つ良くはないんだけど。






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いたずらっ子→←5月15日 水曜日



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(プロフ) - すごく好みの雰囲気です…。更新楽しみに待ってます!!頑張ってください (2021年2月23日 23時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
オレオ_ッピ推し(プロフ) - 何この話どタイプ……気長に更新を待ちます。( ºωº ) (2020年11月5日 1時) (レス) id: dfcf88994a (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 私も大好きです…更新楽しみにしてます( ^ω^ ) (2020年10月29日 21時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
こあら(プロフ) - 何これ好きぃ……………… (2020年10月19日 8時) (レス) id: df8e2a19f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:290円 | 作成日時:2020年10月9日 19時

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