クロネッカーが見た三千世界〈 QK 〉

射幸性：愛とスカラー - izw ページ10

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深い眠りから覚める時の、独特の感覚が脳を襲った。



……頭が痛い。

確実に昨日飲みすぎたせいだ。同窓会だからとハメを外しすぎたのが悪かったのだろう。そういえばほとんど記憶もない。



頭が痛い。

何より身体が重い。腰が痛い。


目を開けたくない。瞼が重すぎる。どうせ今日は仕事も休みなのだ、もう少し寝ていたって───、




……寒い。


何だコレ、超寒い。冬だからと言っても寒すぎないか？


今日はそこまで気温が低いのだろうか。いくら何でも寒すぎる。…仕方がない、暖房を付けてから風呂にでも入るとしよう。






……と、重い重い、瞼を開き。




───天井を見つめ、私は数秒固まった。







「……は？」





……ここどこ？


いや、え？何ここ。何この部屋。私知らないんだけど。は？いやマジどこなのここ、確実に私の部屋じゃないじゃん何？エッ何？



混乱が混乱を呼び、私は暫し固まったまま真っ白な天井をガン見していたわけだけど。




……いや、いやいや。ありえないありえない。起きたら知らない部屋だったって、それどこのデスゲームの導入よ。


落ち着こう、もしかしたら知ってる部屋かもしれないし。そう結論付け、私は部屋の観察を試みようとした。




……そう。試みようとした。


つまり、私は観察を試みれなかったわけで。






「……」





いや待って。

待って待って待って。流石に待って。衝撃的すぎて言葉も出ないよ。





……なんで私、服着てないの？



は？は？は？は？？マジじゃんマジで服着てないじゃん、どうした私知らない部屋で全裸とか変態のそれでしかないよやめてくれよ。


辺りを見回す。ベッドの近くに落ちていた私のものと思われる下着とワンピースを確認。終わった。死ぬしかない。




…ひとまずどうすべきかを考えよう。とにかくここはどこだ？マジで知らない部屋なんだけど。


寝室なのだろう。ベッドとその脇に小さなテーブルしか置かれていない部屋は、言うなれば殺風景だ。




その小さなテーブルの上、置かれていた書類に目が行く。


…いや、こういうのを勝手に覗いちゃいけないのは分かってるんだけど。こちとら今極限だから。



仕方がない。そう言い聞かせてそっと書類を覗き込み───やはり今度も、息を呑んだ。







「……伊沢、招司………」





その書類の隅。

角ばった文字で書かれた名前を見て、口角が引きつる。





………何で私、元彼の家に素っ裸でいるんだ？






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