クロネッカーが見た三千世界〈 QK 〉

閑話 - ××しないと出られない部屋 ページ17

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─ 川上さんと『互いへの気持ちを言わないと出られない部屋』




「互いへの気持ちって…何て抽象的なお題…」


「…閉じ込めた割にそこらへん緩すぎひん？」



鬼の正論である。目が覚めたら扉が施錠された部屋にいたってところまでは大掛かりなのに、出るための条件が簡単すぎやしないだろうか。





「でもまあ、思ってること言えばいいんでしょ？さっさとこなして帰ろうよ」



これで相手が好きな人ならドキッな展開だったのだろうけど、残念ながら一緒にいるのは川上だ。ドキッもクソもない。




「まあ、そうするしかなさそうだし…」



川上も乗り気な様子。流石にさっさと出たいだろうしね。こうすれば出られると明記してあるのだからしない手はない。





「じゃあ、……川上、川上かー…。…んー、仲良い同期…かな……」



改めて考えると気持ちって結構難しいな。普段意識して考えるものでもないし。





「んーと、じゃあ…。…仲良くしてくれる同期？」


「……何か似てない？私のパクった？」


「自意識過剰。大体そんなもんでしょ」



…まあ確かに。めっちゃ好き！とか言う仲でももっと仲良くなりたい！と思うような関係でもないしね、実際。




「……」

「……」



…とまあ、一応指示通りに命令をこなしたのだけど。






「…扉開かなくない？何これバグ？」


「さあ…、」



数分待って見たけれど、ノブを捻ろうが扉を叩こうが一向に鍵は開いてくれない。話が違うんですけど。




「えー、何でかなあ…、……川上嘘言ったりしてない？」


「は？」


「本当は私のこと嫌いだけど嘘ついてるとかさあ。私別に気にしないから言って良いよ」


「…いや、別に嘘も何もついてないし」


「いやいや良いって。聞かなかったことにするしさ、川上も出たいでしょ？」


「……」




と、最初は否定をしていた川上も、流石に出られないとなれば黙りこくって視線を俯かせた。

…いやまあそりゃあショックだけども、一生このままでいるよりかは全然良い。嫌いならそうと言ってくれ。






「……はー…、」





数十秒の間の後、本当に渋々といった様子で川上が口を開いた。大きな大きな溜息だ。やるなら一思いにやってほしい。



と、



　




「……、


　………すき、」






躊躇いがちに、小さい、声。







「……は？」






がちゃり、鍵の開く音。





……いやいやいや、ちょっと待って。


鍵が開いたって、それ、つまり、ねえ、






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