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未だにどれも、解決策を見出せません - 7 ページ49

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「……」

「……」



須貝さんの申し出を承諾し、仕事が終わるまで待ってもらったのは良いんだけど。

……私も意識しすぎているのか何なのか、驚くほど喋ることができなくて。


そんな様子を察した須貝さんは心配そうにこちらをちらりと見やって黙ってしまった。どうやら気を遣ってくれたらしい。



──『優しいなあ』。

──『好きだと思うよ』。


2人の言葉がぐるぐると駆け回る。

置いてけぼりだったあの会話も、じっくり意味を考えて理解できないほど察しは悪くない。




落ちる沈黙がどうも心をぷすぷすと刺して仕方がなかった。ふと顔を上げ、携帯をいじる須貝さんを見やる。

…恐らく、須貝さんはボーッとしていた私を心配して残ってくれていたのだ。


気を遣わせるなんてそんなことさせちゃいけない。何か話題を振らなくちゃ。




「あ、……あの、」


思ったよりも声が上ずる。パッと顔を上げた須貝さんが「ん?」と優しげな声色で尋ね返した。涙が出そうだ。


さてここからどう広げよう。

当たり障りのない、それでいて私のこの小さな悩みが解決する様な、そんな話。




「……あの、今日、その。

 …伊沢さんと、ご飯を食べたんです」



だめだった。結局振ったのは私の悩みの種となった出来事で、自分のコミュニケーション能力の低さに落胆する。

そんなことは露知らず、須貝さんは笑顔で頷いてくれた。……優しい。




「おー、伊沢と仲良かったっけ?」

「…あ、いや、そんなに話したことはなかったんですけど…。私に聞きたいことがあったみたいで」



…大丈夫大丈夫、話題選びを失敗したこと以外は上出来だ。いつものペースで話せているし、しどろもどろにもなっていない。

「へえ」と須貝さんが一言。携帯の電源を消し、机の上に置いた。私の話を聞こうとしてくれている体勢だ。


 


「珍しいじゃん。何だったの?伊沢の聞きたいことって」



その言葉を聞いた時、反射的に。

私は『聞くなら今だ』と、そう思った。


──…だからこそ、何も考えず口を開いてしまって。


 



「それが何か、川上さんと須貝さんどっちと付き合ってるのか なんて聞いて来たんですよ」



口角が緩まった。我ながら完璧なタイミング。

須貝さんが一瞬目を見張った。私の口は止まらない。


 


「その上須貝さんは私のことが好きなんですって。おかしくないですか?」




瞬間、部屋から音が消えた。


須貝さんは、見張っていた目を更に見開いた。






先生、私は何を間違えたのですか? - 8→←どうやら出来の悪い葦であるらしく - 6



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山田 - 本当にお話を考えるのもそれを文章にするのもお上手でただただ尊敬です… (2022年10月12日 0時) (レス) @page24 id: 5e51f51780 (このIDを非表示/違反報告)
あー - 河村さんの話がめっちゃ良かったです! (2020年8月21日 18時) (レス) id: e630ce1c5f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 290円様。あなたの三角関係系の小説すごく好きです。もちろん他の作品も好きですが、これらは小説としての魅力がずば抜けてます。あとたまに読み手に一抹の恐怖を与える作品も最高です。起承転結がしっかりしていて大好きです。まとまりのない長文を失礼致しました。 (2020年1月29日 3時) (レス) id: e047a9674f (このIDを非表示/違反報告)
むー - 好きすぎて更新されるたび心の中でガッツポーズしております。これからも楽しみにしてます…! (2020年1月22日 21時) (レス) id: 1dbbe6e605 (このIDを非表示/違反報告)
めろぱん - コメント見て頂けたようで嬉しいです!後日談楽しみにしてます…ありがとうございます…あと他の方もコメントされてますがキューピッドの続編のキャロルもめっちゃすきです…悲恋系のお話大好物なので最高です…心を鷲掴みにされました。こちらのifも楽しみにしてます! (2020年1月15日 0時) (レス) id: 18726b033e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:290円 | 作成日時:2019年9月25日 17時

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