どうやら出来の悪い葦であるらしく - 6 ページ48
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恙無く終わった伊沢さんとの昼食は、その後の私の集中力をこれでもかというほど削いでしまった。
福良さんの言葉と伊沢さんのお話。
よく飲み込めていない場面もあるけれど、あの人たちの話と私の中の須貝さんというのは大分違っていて。
だって1ヶ月も私に協力してくれていたのだ。時折見せる頼り甲斐のある一面も、きっと妹を可愛がるようなそれだろう。
……それがまさか、私のことを好きだとか。
伊沢さんの人を見る目は確かにすごいし、私自身とっても尊敬している。伊沢さんだからたくさんの人が彼に着いて行く選択をしたのだ。
…でも、ねえ。
須貝さんに触れている私からすれば、何だかあり得ない架空の話というか。
「Aちゃん」
「エッ？！」
そんな考え事をたくさんしていたからだろうか。掛けられた声と肩に置かれた手に私はすこぶるビビり、間抜けな声と共に椅子から落ちかけた。
間一髪でテーブルにしがみつきことなきを得る。ほっと息を吐く間もないまま振り返り、無様な姿を晒してしまった人物を見やる、と。
「…あー…、なんかゴメン。そんな驚かれると思ってなくてさ」
私のあまりの驚きようにちょっと引いてすらいそうな須貝さんがそこに立っていて。…何てタイムリー。
ひとまず誤魔化すように苦笑い。あんなことを聞いた後だからだろうか、何を言えばいいのか分からなかった。
「え、…っと。……どうかしました？」
いつもならもっとスムーズはずなのに、動揺と状況が悪い。言葉はどもるしテンポは最悪だ。
「あー、いやさ、もう遅いし真っ暗じゃん。何だったら送ろうかなと思って」
そう言われてふと気付いた。オフィス内にあれだけいたはずの人がいつの間にかいなくなっている。おまけに窓の外は真っ暗だ。
携帯の電源を入れる。時間を確認し、これまた随分と遅い時間を回っていたことに目を見張った。周りに気付かないほどボーッとしていたらしい。
「ほら、女の子が一人ってのもアレじゃん？仕事残ってんなら待っとくしさ」
その申し出に大丈夫ですと答えそうになったのは、今までの生活で染み付いた条件反射だ。
ただ今回それを踏み止まって暫し考え込んだのは、伊沢さんや福良さんの言葉を思い出したからで。
好きとか嫌いとか、恋愛ごとに疎い自分にはよくわからない。
…嗚呼でも、ここでモヤついた何かに終止符を打てるなら、踏み込むしかないと思って。
「…じゃあ、……お願い、します」
→
未だにどれも、解決策を見出せません - 7→←私は日々、たくさん悩み続けてきましたが - 5
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山田 - 本当にお話を考えるのもそれを文章にするのもお上手でただただ尊敬です… (2022年10月12日 0時) (
レス) @page24 id: 5e51f51780 (このIDを非表示/違反報告)
あー - 河村さんの話がめっちゃ良かったです! (2020年8月21日 18時) (レス) id: e630ce1c5f (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - 290円様。あなたの三角関係系の小説すごく好きです。もちろん他の作品も好きですが、これらは小説としての魅力がずば抜けてます。あとたまに読み手に一抹の恐怖を与える作品も最高です。起承転結がしっかりしていて大好きです。まとまりのない長文を失礼致しました。 (2020年1月29日 3時) (レス) id: e047a9674f (このIDを非表示/違反報告)
むー - 好きすぎて更新されるたび心の中でガッツポーズしております。これからも楽しみにしてます…！ (2020年1月22日 21時) (レス) id: 1dbbe6e605 (このIDを非表示/違反報告)
めろぱん - コメント見て頂けたようで嬉しいです！後日談楽しみにしてます…ありがとうございます…あと他の方もコメントされてますがキューピッドの続編のキャロルもめっちゃすきです…悲恋系のお話大好物なので最高です…心を鷲掴みにされました。こちらのifも楽しみにしてます！ (2020年1月15日 0時) (レス) id: 18726b033e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：290円
| 作成日時：2019年9月25日 17時
