When we were young ろく ページ10
「エレーナ先生に会いたい。もう二度と会えないなんて嫌だ。怖い。」
そう言って俯いてしまった降谷くん。私は思わず震える彼の手を握った。驚かれると思ったのに、降谷くんは躊躇せず私の手を握り返した。彼は目線をあげた。そこで初めて驚いて、私を凝視した。
「なんで深瀬さんが泣いてるの?」
ごめんね、と、私は言った。ごめんね、泣きたいくらいに悲しいのは降谷くんなのに、関係ないのに、私が泣いてごめんなさい。
「どうして謝るの?どうして泣くの?どこか痛いの?」
彼らしくない抜けた言葉に、彼の焦りが見えた。私は泣き止もうと頑張ったが、涙は一向に止まってくれなかった。自分でも、何が悲しいのか分からない。なぜこんなにも泣けてくるのかわからない。
「謝んないでよ、深瀬さん!深瀬さんは何も悪いことしてないよ?悪いことしてないなら、謝らなくていいんだよ?」
降谷くんは、さらに強く私の手を握った。そしてポケットから彼の白いハンカチを出して、私に差し出した。嗚咽混じりにありがとう、と言って私はそのハンカチを受け取る。溢れる涙を拭き取れば、なんとか少し、落ち着くことが出来た。
「もう泣かないで?深瀬さん...」
「...じゃ、あ...降谷くん、も、独りで、泣かないで?」
私は握っていた彼の手を離してポケットから自分の桃色のハンカチを取り出し、降谷くんに渡した。
彼は渡されたハンカチを見つめ、私のことも見つめた。
「もう泣かない。もう泣かないから、降谷くんも独りで泣かないで。悲しいとき、泣きたいとき、無理して笑わないで。」
そう言って、再び彼の手を強く握る。彼はもう一度手の中のピンク色のハンカチを見つめ、それから目線をあげた。彼の青い瞳から、透明な雫が溢れ出した。
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匿名 - 間違えました(汗)って、は読まないようにしている下さいm(_ _)m (2018年5月5日 0時) (レス) id: 9728013e8e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 改行した方がよろしいってかと (2018年5月5日 0時) (レス) id: 9728013e8e (このIDを非表示/違反報告)
かめ(プロフ) - 矮楼さん» ご指摘ありがとうございます!降谷さんの所属は警察庁ですが、私的な設定として降谷さんは夢主に警視庁勤務であるという嘘をついている、としています。表現の拙さで誤解させてしまってすみません。 (2018年1月11日 18時) (レス) id: b889aa92a9 (このIDを非表示/違反報告)
矮楼(プロフ) - あの、降谷さんの職場って警察庁じゃないでしょうか?ページ28のところです (2018年1月7日 9時) (レス) id: 0e1226e354 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かめ。 | 作成日時:2017年12月18日 13時