ゼロと嘘と初恋と【名探偵コナン】

Now じゅう ページ31

〜Now〜
スティンガーが伝えてきた新たな人物、バーボンとはどのような人物なのだろうか。スティンガーがコードネームをもらってからしばらく経ってようやく接触できたということは、多忙、つまりはなかなかに重要人物で多くの仕事を任されているのだろう。重要で有能な人物。敵は手強い。
ところで、バーボンという名はどこかでいつか、聞いたことがある。私は関わったことがあったのだろうか...？
デートの帰り道、私はそんなことを考えていた。デートは終始楽しく、ドキドキした。別れ際に寂しくて、帰りたくないとぐずったら、零は暖かく抱きしめてくれた。
「また、会おうな。」
「うん...」
「次はどこへ行きたい？」
「...どこでもいいよ。」
だって、零と一緒ならどこだって楽しいから。
そう、続けようとした。しかし、零に遮られた。
「俺もどこでもいいな。Aと一緒ならどこだって楽しいから。」
驚いて、零を見た。彼は穏やかに微笑んでいる。
「私も今、そんなこと考えてた...！」
「だろ？Aも同じこと考えてんだろうな、って思って言った。」
「零...？」
「ん？」
私は泣きそうな笑顔を浮かべて彼に言った。
「変わらないね。」
「...ん？」
彼は怪訝そうにしている。だって、
「だってね？私、零が変わっちゃったと思ったから。零が変わって、私の知らない零になっちゃったと思ったから。」
「...」
零が動揺した。でも彼はその動揺を一瞬でかき消す。
私はその時、零にポアロの彼のこと、私が考える彼の正体を伝えてしまおうと思っていた。だけど、零の動揺を見て、思いとどまった。零にはまだ何かがある。私に話せない何かが。
「零、またね？また会おうね？」
「うん。約束だよ。」
こうして、私たちは次のデートを約束し、それぞれの家へ帰った。

バーボン、か。
零はどうなのだろう。零はどんな顔を持っているのだろう。零も、どこか組織に潜入していたりするのだろうか。頭の中がモヤモヤした。

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