ゼロと嘘と初恋と【名探偵コナン】

Now しち ページ17

〜Now〜
偶然にも電車の路線が同じで、帰り道が一緒になった。電車内で、高校生の時の思い出話をした。
「初めてのデート、この駅の水族館行ったよね。」
「うん。覚えてるよ。確か出る出口を間違えて、」
「そうそう！」
「A、方向音痴だったよな。」
「もう！からかわないでよ零！２人で迷ったんだから、零も同罪なの！」
「酷いなぁ。俺はAが『絶対こっち！』って言ったからついて行ったんだよ？」
「うっ...」
零はくすくすと笑っている。とても和やかで、とても楽しい時間だった。最寄り駅的に先に降りるのは私だったけど、降りたくなくて黙っていた。すると、零が聞いてきた。
「A、降りるの下田馬場じゃなかったか？」
相変わらず零は感の鋭い男だ。
「...うん。」
「じゃあ、もーすぐだな。」
「...れいー。」
「なに？」
「帰りたくないー。」
ああ、もう。と零は呟き、ため息をついた。
「俺だって帰りたくないし帰らせたくないよ？でももう遅いし、これ以上遅くなったら危ないから。」
俺も我慢してるんだ、と零。
「じゃあ、ちゃんと降りるよ...でも、約束してね？またすぐに会うって。」
零の上着の裾をつかんで俯いて言ったら、零は私の頭に手を置いて、
「もちろん。また会うし、連絡もする。」
と言ってくれた。

下田馬場に着いて、電車の扉が開く。
「じゃあね。」
「うん。また。」
『バイバイ』は言わない。絶対に。

When we were young じゅう→←When we were young く

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す