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side.赤池
なぜ、京治が悔しがっているのかは分からない。
けど、「だから、秘密。」と言った時の笑顔は良いものだった。
リレー前まで悩んだ顔をして、ゴールした後も同じ表情を見せたが、それが晴れた様だ。
きっと、自分なりに答えを見つけたのだろう。
俺がリレーに負けたのに、悔しいと言った訳も。
「この後は…」
『騎馬戦やってクラス対抗リレー。さっきのリレー頑張ったかクラス対抗リレー頑張りたくない。』
「それ、俺以外の前で言っちゃダメだよ。」
『俺より前の京治たちが頑張ってくれて大差つけてくれれば流して走るから代わりに京治が頑張って。』
「だーめ。ほら、早くテントに戻って少しでも休憩する!」
そんなことを言われて俺は京治に引っ張られながらクラスのテントへ戻った。
テントに戻ると俺たちは囲まれて、クラス対抗リレーも期待してるなんて言われた。
それをしっかりと聞いた京治は逃げ道なんてないよ。と言い釘を刺された気分だ。
クラス対抗リレーまで時間があると言えばある。
それまでこの後のためにできる限り体力を回復しなければならない。
ボーッとしながらゼリー飲料を時間をかけて飲み干し、少し睡眠をとって…。
暫くすると頭を軽く叩かれ目が醒める。
俺の左側にいた京治の肩を借りて寝ていた。
『悪い。肩借りて。』
「別に良いよ。最近寝不足みたいだったし、眠かったんでしょ?」
『ん…まあ。』
毎週日曜日を迎えるのが怖いせいか、現実逃避するかの様に毎日、曲を書いたり、ギターを弾いたり、ピアノを弾いたりしている。
眠れば良いのに睡眠時間を削ってまでやってしまっている。
昨日の夜なんかは日付が変わってから家に帰って、録画したドラマを観たが、その後はほとんど眠れなかった。
不安なんだよな。
さっきまで忘れていた。
せっかくの最後のイベントなのにこんなこと思い出して。
「ほら、ボーッとしてないで準備して。集合時間だから。」
『あ、あぁ。』
気分をリセットして、できるだけ不安になったことを忘れる様に京治と喋った。
集合場所まで行く間も集合場所に行っている間も。
ただただ気を紛らわせたかった。
この気持ちをどこか遠くへ捨てたかった。
少しの時間でも良い。
今日1日だけでも。
いや、学園祭が終わるまで。
最後の種目である学年別のクラス対抗リレーで1年生が準備をし始めた時、俺は京治と話しながらそう願った。
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Wing(プロフ) - とても好きなシリーズで何回も読んでいます!更新再開楽しみにしてます。 (2022年8月30日 21時) (レス) @page32 id: 8c6a1b2baa (このIDを非表示/違反報告)
maaya(プロフ) - 更新再開嬉しいです!これからも楽しみにしています!頑張って下さい!応援しています!! (2020年12月27日 21時) (レス) id: aeedefecf1 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - ご帰還お待ちしておりました!!!これからも応援しております! (2020年12月27日 20時) (レス) id: 6a37ab7dc4 (このIDを非表示/違反報告)
Wing(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました。続き楽しみにしています。 (2020年8月11日 20時) (レス) id: 8c6a1b2baa (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - とても私好みなお話でした。赤葦君との友情の描写が大好きです。更新停止してしまっていて寂しいです。更新めっちゃ待ってます (2019年8月25日 18時) (レス) id: e337ee27f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アッカ | 作成日時:2017年10月7日 0時