オッドアイが観る世界

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『あっ、行っちゃった』


流していた曲を変えて、マリア達の後を追おうとしたその時、服の袖を掴まれた


『……あ』

アンナ「どうして……」


赤い瞳が、Aを見つめる

Aはアンナの言葉を遮って口を開いた


『正解に近い考えは頭にこびりつく。
そうなると、新たな考えを正解と考えるのは凄く難しくなるんだ』

アンナ「…？」

『アンナちゃん、これ何だと思う？』


そう言ってAが取り出したのは、真っ赤な色をした熟している林檎

アンナは迷いなく「リンゴ」と答える


『……うん。そうだね。
すぐにそう答えたのは、キミの脳がこれは「林檎」だとインプットしているから。
全世界の人間が、これは「林檎」だと認識しているからだよ。
だから、これはもう「林檎」として存在しなくてはならない。敷かれた物語(レール)の上を歩くしかないのさ。
だってこれは「林檎」だから……ね』

アンナ「？？？」


首を傾げるアンナの頭を優しく撫でると、Aは去っていった


尊「……誤魔化されたな」

アンナ「ミコト」


尊はAが去っていった方向を見つめて、気怠そうにタバコを吹かした


尊「……」


瞬きをした時にはもう、Aの姿は消えてなくなっていた

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