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『……っ！！』
「……も、最上？」
皆さんの隣に並んで覗き込んだ先の風よけができそうな岩の陰に隠されていたのは、一人の死体だった。認めたくないが……この登山家は最上全美で間違いない。何て言ったって親友である晴さんが間違えるはずが無いのだから。
全美さんの衣服などは凍っているが、皮膚や肉が半ば溶けかけており、一部分の骨が露出していた。
谷底に見た死体ほどひどくはない。だがやはり、凍死と考えるにはあまりに不自然すぎる。
その異様な死に方に後ずさる人たちもいるなか、私と晴さんは無意識に一歩、近づいていた。声の震わせた晴さんが何かを言っている気もするが、今の私にはそんな声すら耳に届かない。言葉が出ないほど混乱しているのだ。
全美さんは足を負傷しているが、行動不能になるほどではない。適切な処置を行えば、歩いて降りることは可能な傷だ。横にはザックが無造作に投げ出されており、それに寄りかかるようにして眠っていた。
「お前……お前ここまで来れてたんやな……でもそうか。死んでたか。わかってはいたけど、改めてみると辛いな……」
喉の奥から絞りだすように囁かれた口調は弱々しく、震えていた。棒立ちになる私とは対照的に踏みしめるようにゆっくりと歩み出す。すぐ側にしゃがみこんだ彼は全美さんのザックを引き寄せながら掠れた声で呟く。
「……お前のザックとか遺族に返そうと思うから、持って帰るな。今は、埋葬する事すら出来ひんけど……とりあえず、会えて良かったよ……」
顔を正面から見ているわけではないが、晴さんは泣いている。時折鼻をすする音と、涙声がありありと物語っていたのだ。
痛々しい姿がとてもとても見ていられなくて、二人に背を向ける。いつの間にか払々さんたちも晴さんのすぐ側まで寄っていたようで、私の行動を咎める人も注目している人もいない。それを良いことに私はその場を音も立てずに立ち去った。
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夜隠(プロフ) - 銀さん» たくさんの感想ありがとうございます！ここまで来たからには私も良い景色を見せてあげたいものです…完結まで間近ですが、最後まで気を抜かずに書いていきます。もう少々お付き合い頂けると嬉しいです！ (2020年7月13日 5時) (
レス) id: 2199585496 (このIDを非表示/違反報告)
銀 - 何の景色を見ることになるのが楽しみです。長々とすみませんでした…だけど言いたかった…!完結まで後少し。ずっと応援し続けます!! (2020年6月28日 21時) (レス) id: 321732a1a4 (このIDを非表示/違反報告)
銀 - 夜隠さん» 今回のリーダーと夢主さんの話辛すぎて号泣しました…第一次登山隊との別れのところ(Polarにて)や3人を見つけたとき(Night後半および今回はじめ)でも号泣しましたが、最後に見つかっただけあって、ここまでの思いが溢れてきましたね…最後、第二次登山隊と夢主さんが (2020年6月28日 21時) (レス) id: 321732a1a4 (このIDを非表示/違反報告)
夜隠(プロフ) - 木ノ葉さん» 応援ありがとうございます！やっと完結が見えてきました……もう少しおつきあいいただけると嬉しいです！ (2020年6月28日 5時) (レス) id: 2199585496 (このIDを非表示/違反報告)
夜隠(プロフ) - Contrastさん» 第一次登山隊の話は山場でもあるので凝ったかいがありました……！褒めてくださって嬉しいです、ありがとうございます！ (2020年6月28日 5時) (レス) id: 2199585496 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜隠 | 作成日時：2020年6月21日 7時
