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* * *
１０日目
「おはよー」
「おはよう、ございます」
少々集合時間をオーバーしながらやって来た払々さんが、ふわぁ、と呑気に欠伸をしたのにつられて何人かが欠伸をする。つられた人はコージーさんと梓さんの二人。お二方とも目尻に涙を溜めながら遠慮がちに小さく息を吐き出す。
同じような仕草なのだが、梓さんの充血した目は誤魔化せない。起きてから頑なに人と目を合わせようとしない彼女に不安を抱いていた私は、この時ようやく彼女の異変に気づいたのだ。どうやら私以外の人たちは気づいていないようである。
心なしか瞬きの回数も多い気がして心の中で首を傾げる。寝不足なのだろうか。それか目が乾いて仕方ないのか。
「……穂高さん」
「何？」
「ひょっとして、夢を見ましたか？ ……悪夢」
集合してからじっと動かず、挨拶以外何も話さなかった弘中さんの言葉に大きく目が開かれる。梓さんは信じられないとでも言いたげに緩く首を振るものの、弘中さんの質問には肯定であることはその態度から明らかである。やがて「……あなたも見たの」と呟かれたその瞳は深い恐怖を灯しながら苦しげに歪んだ。
「じゃあ、K2さんは？ コージー、お前は？ Aさんはどうですか？」
「何言ってんだよ。悪夢なんて見るわけねーだろ」
「……僕は見たよ」
『まぁ、私も見ましたけど……』
その瞬間、三人の顔が強ばった。
未だに状況を飲み込めていなそうな払々さんと晴さん、コージーさんは小首を傾げてこちらを見るも、残念ながら私は何もわからない。
いや、本当はわかっているのだが、私が口に出すのは違うというわけだ。
この状況、夢の話、蒼白な皆さん。どれをとっても数日前と同じだろう。皆揃って同じ夢を……悪夢を見た日のときと。
だから順当に考えれば、揃って崖から引きずり下ろされる悪夢を見たというのだろう。
しかし私にとってそれが悪夢だったかと聞かれれば、頷くことは出来ない。だってあの白骨は “ グルッペンに似た誰か ” であり、 “ グルッペン本人 ” ではなかったのだから。もし彼本人であったのならそれは悪夢へと変換されていただろう。しかし実際見た夢はそうではなかった。少し気味悪い夢だったな、くらいの印象だ。
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夜隠(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます！この小説を見つけてくださった事がとても嬉しいです。応援ありがとうございます、更新の励みになります！ (2020年6月21日 7時) (
レス) id: 2199585496 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 好きです！（突然の告白）何故今まで読んでいなかったのか…と後悔しましたwまぁとにかく好きです！更新頑張ってください！ (2020年6月18日 21時) (レス) id: 1840efb8a6 (このIDを非表示/違反報告)
夜隠(プロフ) - コンソメさん» お返事遅れて申し訳ないです。私も下山諦めましたね…褒めて下さりありがとうございます！ご期待に添えるよう精進して参ります。 (2020年6月11日 4時) (レス) id: 2199585496 (このIDを非表示/違反報告)
コンソメ(プロフ) - あっ、やばい。下山は諦めたけどもう、うん(語彙力消失)僕が書いてるのとは比べ物にならない素晴らしさですね。こんな良い話を書いてくれてありがとうございます。応援してます！ (2020年6月7日 11時) (レス) id: 1d8435ec80 (このIDを非表示/違反報告)
夜隠(プロフ) - 銀さん» お待たせしました……！ここまで来れたのも読んで下さる方々のおかげです。ありがとうございます。銀さんも体調にお気をつけ下さい。 (2020年5月30日 4時) (レス) id: 2199585496 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜隠 | 作成日時：2020年5月24日 5時
