赤ん坊に見えたもの ページ37
ｰマーモン sideｰ
【4年前･夢】
僕はあの光を久しぶりに見た。
運命の日の出来事を僕は今も鮮明に覚えている。
あの日の出来事が、今目の前にいる少女に起ってしまった。
貴｢………｣
ア｢…！｣
マ｢……Aかい？｣
貴｢………？｣
白群色の輝きを放つおしゃぶりを胸に提げた赤ん坊がこちらを振り向く…勿論驚いた。
今までのような慈愛に満ちた優しい微笑みではなく、貼り付けたような笑みを浮かべていたんだから。
ア｢Aちゃん…本当に、ごめんなさい。｣
大空のアルコバレーノのアリアは涙を浮かべながら謝ってたけど、Aは貼り付けた笑みのままアリアと僕を見ていた。
ここで僕は何かがおかしいことに気付いた。
Aが泣いているアリアを放っておくはずがない…！
いつものAなら、任務の標的とその取り巻きでない限り声を掛けているはずだ。
なのに、今のAはアリアを前にしてもただ貼り付けたような笑顔を浮かべ見つめているだけだった
マ｢A……君、まさか…！ ｣
貴｢………？｣
手放してしまった…放棄してしまったのか？
優しさの温もりも、他人を愛する気持ちも…
貴｢…｣
マ｢君は馬鹿なのかい！？
何で…何で僕らと同じ赤ん坊になる道を選んじゃったのさ！君が赤ん坊になったら…！｣
Aと向き合った時に確信したんだ。
もうここにAが居ない、てこと…
目の前にいるのは夢を司るアルコバレーノ、
"Incoscienza"だと言うことも…
あの優し過ぎた暗殺者は夢の炎と一緒に無意識の底に沈んでしまっているんだとね。
マ｢君は今、何を見ているんだい？…僕のこと、"見えている"かい？｣
貴｢─────｣
小さくもはっきり聞こえた言葉
目が覚めてからは、何て言っていたかは覚えていなかった。
その日からだ…インクシェンサによるVARIA城内限定の隠れ鬼が開幕したのは。
｢Macchia di sangue
maledetto
Catena di odio
E ancora
Qualcuno da qualche parte…｣
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作者名：イヴ | 作成日時：2019年10月16日 12時
