俺を恨む君へ‐２‐【カ○○○】【男主】 (ページ31)

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６０話ページ31

ｼﾝ「おはよ、A」

「……え？」

ｼﾝ「だから、おはようって」

朝。
普通にシンタローからいつも通り挨拶をされる。
昨日は散々これから口を聞いてもらえないかも、とかもう友達じゃない、とか、
…気持ち悪いって言われるかも、だとか悶々と考えていたというのに。

「…お、はよ。腕、どうだった？」

ｼﾝ「ん、大したことないって」

そう言ってずい、と袖をまくって包帯に包まれた腕を見せた。
血は滲んでいなかったけど、そもそも痛々し気に巻いてあった包帯が視覚から心を抉った。

ｼﾝ｢…A」
「う、ん？なに？」
ｼﾝ｢…Aの顔、フードで見えない」

そう言って俺の顔を覗き込もうとするシンタロー。
思わず顔を覆った。

ｼﾝ｢…何で隠すの。見せて」
「やだ…俺の顔見ないで」
ｼﾝ「何で？オレ、悪いことした？」

シンタローが酷く淋しそうな声をあげ、覆い被さってくる。
俺もシンタローの服の裾を握った。

違うんだよ。お前は何もしてないんだよ。

　なんで、俺のせいだって、思わないんだ？

「…しんたろ、ごめん」

ｼﾝ「何で謝るんだよ？」

「気持ち悪くてごめん」

ｼﾝ「気持ち悪くなんかない。Aだし」

「何で俺だと気持ち悪くないんだよ」

ｼﾝ｢だって……

オレの一番大切な人だもん」

それ以上に嬉しい言葉があっただろうか。

涙が落ちた。

けれど、俺はそれ以来フードを取らなくなった。

あのヘラりとした笑みを直接誰にも見られたくない。
自分ですら見たくないから、覆い隠した。

だから、今日も隠し続ける。

ただ、それだけ。

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