52話 ページ23
キド「飯が冷める……」
「サーセン団長」
シン「…わりい」
席についてもなお、ぐちぐち言われてもへこたれずにへらへらしているA。
オレも流れでそっとAの隣に座る。
カノがAの顔を覗き込んだ。
驚いたように顔を遠ざけるA。
カノ「A君ってさ、パーカーのフードとらないよね」
シン「…!」
漸く付けた腰を反射的に上げる。
確かに、Aがフードを取ったとこなんて、小学校の低学年だったか辺りから見たことが無い。
一度、一度だけ取ろうとしたことがあった。大した感情なんて無く、興味で。
その時見えたAの顔は、今でも身がよだつほど覚えている。
いや、表情はよく覚えていないけれど、纏う雰囲気が体にこびりついて離れない。
本気で、雰囲気だけで、嫌だと叫んでいた。
それ以来、自然とその話題は避けていた。
カノに言われ、Aは確実に戸惑っていた。
「…お、おお。まあ、な?どうしたんだよ急に」
カノ「いや〜?ちょっとどんな顔してるのかなぁって思っただけだよ。んで…」
「言っとくけど、取らねえからな?」
恐らく、カノは取らないのかとでも聞く気だったのだろう。
けれど、有無を言わさぬ迫力にカノは、いやその場が凍り付いた。
普段のヘラりとした雰囲気は無く、端的でも、凍てつくような声で。
誰もが、食事の手を止め、固まった。
シン「…っだ、誰も取れとは言ってないぜ?落ち着け…」
我ながら声が震えている。
なるべく角の無い言葉を選び、Aの背に手を回しながら話しかける。
ハッとしたようにオレを見て、再びヘラりとした雰囲気を作り出す。
「あ、ああ。そうだよな!わりいわりいっ」
そう言ってオレの頭をわしわしと撫でつける。
撫でられんのは嫌いじゃねえけど…今はそんなに気持ちよく感じられなかった。
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彌涅@プロフ見(プロフ) - うさたんさん» いえいえw頑張りますぜい! (2017年6月10日 22時) (レス) id: af08178a2e (このIDを非表示/違反報告)
うさたん(プロフ) - あ…ああありがとうございます!!!なんか忙しそうなのにリクエストしてすみません… (2017年6月10日 18時) (レス) id: 63f645a354 (このIDを非表示/違反報告)
彌涅@プロフ見(プロフ) - うさたんさん» 驚くほどグダグダですが始めました() (2017年6月9日 23時) (レス) id: af08178a2e (このIDを非表示/違反報告)
彌涅@プロフ見(プロフ) - ありがとうございます! (2017年6月7日 23時) (レス) id: af08178a2e (このIDを非表示/違反報告)
うさたん(プロフ) - おぉぉ…話がどんどん進んでいきますね!!執筆頑張ってください!!! (2017年6月7日 7時) (レス) id: 63f645a354 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネット中毒少女 | 作者ホームページ:http://KhKom/ol45
作成日時:2017年5月1日 23時