優しい悪魔【Ryo.Y】 (ページ10)

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デタラメページ10

放課の時だった。
またあの人だ。えーっと…
世衣くんだ。

「なあ、弥生」
「何？」
「コイツ好きってマジ？」
「は？」

一番知られたくなかったんだけどな。
しかも本人の前で言うか？
しかもしかも、デタラメだし…

「白井から聞いたんだけど」
「私はそんな事言ってないよ
　仲良くなりたいだけ。」

そう言ってちらっと横を見れば
目を丸くした亮くんがいた。

「みんな失礼なあだ名付けてるけど
　私は嫌な事されたことないし。
　変な噂に流される人にはなりたくない。」

そう言えば世衣くんは黙った。
かと思えばニヤリと笑う。

「だってよ吉沢さん！どうなんですか？」
「別に…」
「別にじゃ分かんねえじゃん。
　仲良くなりた言っていってるけど？」
「…」
「困らせるようなことする人は嫌い。
　私の勝手な気持ちだから
　亮くんは嫌かもしれないから、」
「嫌…じゃない」

世衣くんがうるさいから
困らせるようなことする人は嫌い
って言ってみれば、思い通り静かになった。

でも今はそんな事どうでもいい。
亮くんが、嫌じゃないって…幻聴かな？

「まじで言ってんの？」
「面白い子、だね」

冗談だろと言いたげに笑う世衣くんに
亮くんは笑いながら言った。

初めて笑ったところを見た。
でもそれは私だけじゃない。

「吉沢が笑ってる」

クラス皆が初めて見た。

きっと亮くんは人と接することが苦手なんだ。
だから冷たかったりしたんだ。

私が亮くんの笑うきっかけを作られたのなら
嬉しい。
これから仲良くなれるかな。

「何見てんだよ」
「あ、ごめん」

気づけば真顔に戻ってたけど
いつもよりも暖かさがあった。