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どうして、彼は、悪くないのに ページ21

「ツナ!?」

「新一…何が、何が起きたの?」


新一、と呼ぶと博士と新一がびくりと反応する。

新一は子供みたいな笑顔で答えた。


「何言ってるの?僕は新一って名前じゃないよ」

「キモい、止めて新一」


冷たい目で一蹴する。

新一は羞恥に顔をカァッと赤くした。


「なんで分かるんだよ……」

「いいから、説明して」


時間がない、と超直感が言っている。

危険ではないが、何かが、近づいてきている。


「……ってことだ」


新一が一通りの説明をしてくれた。

矢張り、あの時、綱吉が新一を止めようと、止められなかった時に起こったのだ。


「……」


綱吉は何も言えずに、黙っていた。

新一が綱吉の反応を見ようと顔を見る。


「…なんで、お前が泣きそうな顔してんだよ」


こつんと綱吉の額をつついた。


「新、一……新一……」


綱吉は崩れるように膝をついて、俯いて顔を隠した。

新一の肩に手を伸ばし、服を掴む。


「なんだよ、ツナ」

「新、一……っっ!!」


きゅっと掴んだ手は震えていた。

新一はどうすればいいか分からず、綱吉の背中に手を置いた。


「なに泣いてんだよ」

「ごめ、ん……っ、ごめ、なさい……っ!」


しゃくり上げて、苦しそうに声を出す。


「なんでツナが謝るんだよ」

「俺、は...…止められ、なかっ……!!」


綱吉は震える声で、ただただ新一に謝り続けた。


(こんなツナ、初めて見た)


ここまで弱い綱吉を、初めて見た、と思った。

綱吉は常に強かった。

いつもぼけっとしていて、ドジを踏む事も多かったが、決して弱い所を人に見せなかった。

新一が頰を叩かれて落ち込んでいた時も、強い言葉で叱咤したのは綱吉だ。

けれど、今の綱吉は、震えて、泣いて、謝って、本当に高校生の、まだ子供に見えた。

いつもの彼は、強がる様子すら見せない、新一らの一歩先にいる存在だった。


(ツナは俺と同じなのに…)


綱吉に甘え過ぎていた自分に気付く。

今回のがいい例だ。

綱吉に厳しい言葉を言われた途端、彼と距離を置いたのだ。

綱吉ならきっと、優しい言葉をかけて、励ましてくれる。

この甘えから産まれた、最低な、行為だ。


(なんで、此奴、こんなに泣くんだよ。俺が悪いのに、ただの、自業自得だってのに)


なおも謝り続ける彼に、新一は背中をさすってやる事しか出来なかった。




ーーーーどうして彼は、全ての責任を持って行ってしまうのだろうか



始めて抱いた、彼への不安

コナンくん(笑)→←行ってください、綱吉さん



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暁月臨(プロフ) - ゑ、、、、、、!?終わり、、、??!!え、お願いします!!続きをどうか、、、、、!!!!!! (8月8日 14時) (レス) @page50 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
namikazeminato2(プロフ) - かなり設定が好きなので続いてくれると嬉しい (2021年7月24日 11時) (レス) id: 1dcca53fd9 (このIDを非表示/違反報告)
姫野 - 終わり・・??つ!づ!き! (2021年1月23日 13時) (レス) id: dff9124b0b (このIDを非表示/違反報告)
wayu0112(プロフ) - 続きはどこですか?! (2019年8月9日 20時) (レス) id: bed71cde77 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 好みドンピシャでした…続きは無いのでしょうか。 (2019年7月25日 14時) (レス) id: e74652a353 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Yuyua x他1人 | 作成日時:2016年5月30日 7時

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