・鬼退治と報告−4 ページ9
その部屋から出ると、環火は一息つく。ぺちっと両手を頬に持っていった。
「…そんなに顔に出ていただろうか」
「師範は医者もやってるから。人の不調に気づくのは上手いと思う」
失礼だっただろうかと小さな自己嫌悪に陥る。兄にはよく目が大きいぶん考えが読みやすいと言われたものだ。おんなじ顔してるくせに。
「お風呂はここ。早く休も」
「うん、ありがとう」
カナヲと任務をともにするのは今までに数回あり、それ以前に上の兄姉の関わりもあって風呂も気にしない。ただ、凹凸が少なく筋肉質な身体の環火はカナヲをたまに羨ましく思う。その綺麗な身体からどのようにあの強さが引き出せるのだろうか。
「カナヲ、前よりまた強くなった?」
「そう?ありがとう」
湯船に二人で浸かる。ほかほかと湯気がたち、忙しいときが終わったのだと実感した。環火の髪が濡れて下がり、普段の威圧感のようなものがない。
「そろそろ上がる?もう逆上せそうで」
「そうだね」
カナヲはただ環火に同調した。その後も他愛のない会話を交わし、今日の討伐についても少し話したりもした。三人娘がベッドにシーツを張ってくれ、お茶まで出してくれた。
「お疲れ様です!よく疲れに効くお茶です」
カナヲは少し微笑む。環火はお湯のみを傾け、熱さを確認すると飲んだ。柔らかい香りが鼻を抜ける。かなり上質な茶ではないだろうか。
「ありがとう」
「いえ、お疲れ様でした!おやすみなさい」
みつあみの少女、なほが布団を持ってきてくれる。礼を言い、布団を肩まで被る。外から差す陽の光が暖かく、心地よかった。
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作者名:白夜ひすい | 作成日時:2020年11月22日 12時