○同期と一緒 ページ5
「君は…もしかして炎柱の妹さん?最終選別のときにいたよね!」
「竈門…炭治郎」
「うん!君の名前は?」
「煉獄環火」
下弦の鬼との戦いが終わり、蝶屋敷に居たときだ。顎を包帯でグルグル巻にされた竈門炭治郎、それと同時期に鬼退治を行って少し怪我を診てもらっていた煉獄環火は、最終選別後、初めて顔を合わせた。
炭治郎は入院着なのに対し、環火は隊服だ。敵に違いはあろうとも、彼女は強く、怪我が少ないんだろうなと炭治郎は思った。
「環火はさ、怪我浅いんだね」
「鬼がそんなに強くなかったから。竈門さんは下弦と当たったらしい」
「うん、でも義勇さんやしのぶさんはあっという間に倒してしまったから…もっと強くならないと」
「身体は大切に」
「そうだね!ありがとう」
環火は炭治郎に小さく会釈をすると通り過ぎる。炭治郎はすぐに振り返って叫んだ。
「環火!俺は呼び捨てなんだし、環火も下の名前で呼んでくれていいよ!」
「…」
そうすると、環火は面倒くさそうに振り返った。兄の炎柱とよく似た釣り上がった明るい大きな目を、少しだけ細める。
しばらく黙ったのち、口を開いた。
「……長い」
それだけ呟くと、環火は歩いて行ってしまった。その場に残された炭治郎はちょっと悲しく、いや虚しくなってしまった。
「長いって…言われたのは初めてだ」
ちょっと人とは違う感覚を持っているのだろうか、と眉を下げた。炭治郎はすん、と鼻をきかせる。
(炎柱のような匂いはしないんだけど、強い人の匂いがする)
同期だが、彼女は少し上だろう。ずっと炎柱とともに過ごしていただけある。近くで見て、色々教わっていたのだろう。
「たんじろぉ…腕がぁ…」
「あ、善逸。環火のこと、なんか知ってるか?」
「環火?誰?」
「ほら、いたじゃないか…最終選別に。特徴的な髪の女の子が」
「えっ!女の子だったの!?変な音するなぁとは思ってたけどさ…」
炭治郎は善逸を引き摺りながら、病室に戻る。背筋が伸び、決して目を逸らそうとしない環火はとても強そうに見えた。
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作者名:白夜ひすい | 作成日時:2020年11月22日 12時