○蝶屋敷へ ページ4
「蟲柱さま」
「あら…煉獄さんの妹さん。こんにちは」
「こんにちは」
とある日の昼過ぎ。現炎柱こと煉獄杏寿郎と瓜二つな見た目をした彼の妹が蝶屋敷を訪れた。手には大きな籠を抱えている。
「兄が助けた方から頂きまして…」
話を聞いてみれば、彼女の兄が鬼から守ったある家族が薩摩芋農家だったらしい。そして好物だと知って、お礼として大量に頂いたとのこと。
「まぁ…ありがたく頂戴いたしますね。上がって行きますか?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
物静かで謙虚な姿勢は、まるで彼の妹とは思えない。蟲柱胡蝶しのぶは少しだけ笑ってしまった。
「ふふっ…」
「えっと…」
困らせてしまったかなと思うが、彼女の顔は見ていて楽しい。あまり変化のない表情だが、きょとんとしたり、慌てたり、なんだかんだ分かりやすい。
「可愛くって思わず笑ってしまいました。今後もカナヲともども、蝶屋敷をよろしくお願いしますね」
「はい、こちらもお世話になるかと思います」
礼儀正しいお辞儀をすると、彼女は帰って行った。まだ羽織を貰っていない、隊服の『滅』の字が白く光った。
「ええっと…煉獄環火さんでしたっけ」
ふわりと、蝶の羽織を翻してしのぶは大きな籠を覗く。山盛りの薩摩芋が、所狭しと詰まっていた。
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作者名:白夜ひすい | 作成日時:2020年11月22日 12時