・風柱へ−2 ページ3
「兄が助けた方々からの頂きものです。皆さんに分け歩いています」
環火はそう言うと、実弥の顔をじっと見るように反応を伺う。よくよく考えるとこの顔に見られるとなんとなく気まずい。
「茶でも飲んでいくか?」
「…遠慮します。弟を待たせているので」
「そうかァ、頑張れよ」
「はい。お言葉痛みいります」
本当にあの男の妹かと思うほど、言葉を知っているのだなぁと思う。いや、あいつもかなり言葉遣いはしっかりしているが、丁寧さというのだろうか、何かが違うように見えた。
「それでは失礼します」
それはそれは、丁寧な礼だった。そして、兄に比べて小さな背中がテンポ良く歩いて離れていった。門を抜けるとき、もう一度礼をして、軽く閉ざす。
「千、お待たせ」
「はい、姉上。行きましょう」
少し砕けた物言いの、姉としての声が聞こえた。嗚呼、今まで自分の前にいたのは鬼殺隊最低位、新参者としての対応だったのだろう。それが分かって、妙に納得してしまった。
「…入隊から四つくれぇ上げてやっても良いだろうに」
あれよりも、指示に従わなかったり、顔を合わせたらすぐに逃げ出したりするような腰抜けもいるぐらいだ。凛とした姿勢に、謙虚な行動、隙きのない出で立ち。やっぱり煉獄家の者だと実感するのだった。
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作者名:白夜ひすい | 作成日時:2020年11月22日 12時