炎柱の妹はそっくりさん【鬼滅の刃】 (ページ14)

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○戦い方と救われ方－1 ページ14

「下弦…」

「嘘だろ…そんな、柱一人もいないのに…」

　闇夜に紛れるのは、真っ黒な大柄な鬼だった。そして異様なほど輝く鮮やかな、見開かれたギラギラとした瞳に下弦の文字が見え、隊士たちは恐怖に慄いていた。

「……な、なぁ…やっぱり、柱の到着を、待つしか…」

　先程鴉を飛ばしていた隊士である。刀を縦に持ち、不安な様子は丸わかりだ。

　そして、弱気な言葉が周囲から聞こえる中、環火は落ち着いて刀を構え直す。ぐっと手に力を込めた。顔も、険しくなる。

「鬼殺隊なんだ、鬼が前にいるのなら殺すしかない」

　がたがたと震えている隊士たちを背に、環火は鬼へ斬りかかった。参ノ型、気炎万象。鬼は素早い動きで後ろへ跳んだ。環火もすぐに次の一歩を踏み込んだ。走って追いかけ、だんだん距離が近づいてくる。

「(いける…)」

　足に全力をかけ、壱ノ型の構えをした。

「(炎の呼吸、壱ノ型…不知火)」

　全速力で斬りぬいた。しかし、手にはなんの感触も手応えもなかった。まるで空気を斬ったかのような。

　確かにそこにいたはずなのだが、まるで煙を斬ったようにいなくなった。すぐに構えてまた周りを伺った。

「速いのぅ、鬼狩りは」