・鬼退治と報告−8 ページ13
「…あの?」
環火は二人を追いかけて茶の間に入る。二人は顔を見合わせて嬉しそうに笑っていた。
「アオイ、環火さんに隊服を届けてくれますか?」
「分かりました、しのぶ様。環火さん、こちらです」
行ってらっしゃい、としのぶは手を振った。環火はまだ分からないようだったが、アオイに連れられて茶の間から続きになっている縁側から外へと歩いていった。
少し経つと、しのぶは羽織の袖で口元を隠しながら笑った。
「煉獄さん、笑みを隠せていませんよ」
「うむ…あれは嬉しかった」
煉獄は恥ずかしいような誇らしいような気持ちで嬉しくなった。『頑張ってくれていた』、と努力を認めてくれていたのは嬉しかったのだ。
「そうですね、分かりますよ。今はずいぶんと妹達が多いですから」
しのぶも目を細めて、思い出すような顔をした。脳裏にはカナヲにアオイ、三人娘や亡くなっていった継ぐ子が映っていた。
「話すことになればお茶を淹れますが、どうしますか?妹の愛いさについて語りましょうか?」
「む!それなら負けなそうだ」
「ふふっ、冗談ですって。ほら、環火さんがもう戻ってくるでしょう」
板の間を踏む音が近づいてくる。かなり残念そうな顔をする煉獄だが、正面から環火に良さを語ればどんな顔をするのか想像つく。
「お待たせいたしました、兄上、蟲柱さま」
「うむ!では帰るとしよう!」
「はい。蟲柱さま、アオイさんお世話になりました」
騒がしい煉獄に、環火は丁寧な礼をする。しのぶはその二人を見て笑う。
「えぇ、また遊びに来てくださいね。くれぐれも大怪我はしないように」
「環火さんも頑張ってください」
それから三人娘にも礼を言い、ちょうど起きてきたカナヲにまた、とだけ言い、蝶屋敷を後にした。居たのは一日あるかないかぐらいだが、だいぶ世話になった。
蝶屋敷の敷居をまたいだとき、ふと見上げると太陽が頂点へ来ていた。もう昼過ぎになる。
「兄上、どこかで昼ごはんでも食べませんか」
「む!俺もちょうど腹が減ったところだ」
頼りになる兄とともに、環火は笑った。
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作者名:白夜ひすい | 作成日時:2020年11月22日 12時