ナイトボーイ. (ページ2)

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yugo side＿

「はあ‥もう勘弁してくれよ。」

慣れないパンプスに足を痛めながら家に帰る。

ウィッグを外し、女性物の服をすぐさま脱いだ。

スマホを取り出して、友達にメッセージを送る。

　

［終わった。"罰ゲーム"。］

友［お疲れ笑どうだった？初めての夜の街は？］

［散々だよ。ただでさえあそこは昼間にしかいかないのに、夜に、しかも女装でとか‥ふざけんなよ。］

友［怒るなって笑誰かにナンパされた？笑］

［された。しかもあの"田中樹"。］

友［おいまじかよ！まぁ途中で送ってくれた女装こーちめちゃめちゃ可愛かったしな笑］

［やめろよ‥もう疲れたわ、寝る。］

もう既に夜は更け、時刻は深夜2時。

バッグのものを取り出そうと中身を見ると、俺はハッと息を飲んだ。

「‥ハンカチが、ない‥！」

祖母からもらった名前入りの黄色いハンカチ。

まさか、走り出したときに落としたのか‥？

完全にお疲れモードだった筈の体が、勢いよく立ち上がった。

あのハンカチだけは、無くしちゃいけない。

それだけ大切なもの、だから。

さっきとは打って変わった素の俺のまま、家を飛び出した。

そう、もう一度夜の街へ足を運んだんだ。