8話 ページ10
「うぅ…っ」
野坂「っ…！(やっぱり天使みたいだ)」
そう思ってしまうほど、彼女、野原華は可愛く、綺麗で繊細な子だった。
最初あった時と同じで軟らかくふわふわロン毛に薄いピンク色をした髪色。
瞳は薄水色が輝いてその奥から黄緑が見えた。見間違いじゃなかったんだ。
それに加えてゆっくりとは見なかった真っ白い肌に、掴めば折れそうな細い体が目に焼き付いた。
野坂「僕は君から見て怖い？」
「…。」
じっと見つめ小さく横に振った。
彼女にとって野坂悠馬は“不思議な人”となっていたので怖いと思わなかったのだ。
野坂「じゃぁ、これは？」
すっと伸ばされた手が野原華の頬に触れ優しく撫でた。
「っ！」
びくびくっとまた体が震えた。
しかし、前とは違い振りほどこうとしなかった。
それは多分、振りほどいたら怖いという意味でとらえられ嫌われると思ったのだ。
そのため、振りほどこうとした手が、拳が震えながら我慢していた。
それが野坂にとってやはり息苦しく悲しく、切なかった。
これ程、触れることに怖がり、追い込まれているような彼女にだ。
野坂「その怖さは君の過去と繋がりがあるんだね？うんなら頭を縦に、違うなら横に振って。」
大丈夫だからと逃げようとする手を掴み強く抱き締めた。
「っ！の、のさか…くん」
優しい抱擁に少しずつ安心するように震えが収まっていく。
そして、彼女は縦に、頭うなづいた。
野坂「そう。なら…「わ、私が悪いの！」え？」
抱きしめられ両手が塞ぎ、服を強く握り締めた。
「私が…弱いから。強くないから友達も友人も周りの人もムカつくの。」
ポロポロと泣きながら少しずつ思い出したことに呟いた。
野坂「大丈夫だよ。少しずつでいいから僕に話して。君が思ったこと、されたこと。」
「…私は、“3つの試練”のせいで“壊れた少女”として扱われてきた。記憶を取り戻した時、私は暴れた。それをみた両親はまたあるところへ連れていき私を閉じこめた。それが私の最初で最後の“サッカーへの愛情”だった。」
訳の分からない語り手に野坂は思う。
俺だけでは耐えられない強いものが彼女をこんなにしたのだと。
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作者名：野薔薇 | 作成日時：2019年3月10日 23時
