黒き舞姫の舞踏会

抹茶プリン ページ2

某日。


『太宰を見つけた』

簡潔すぎる短い文と茶屋の写真が添付されたメールが送られてきてから10分ほどで、僕は目的地に着いた。

店に入ると、すぐ目を引いたのはからの丼の山。

「あの、どういうことですか、これ…」

そして、その丼の山に囲まれながら茶漬けを頬張る少年と向かいに座る包帯男とメガネの男。

「ああ、A。来たか」

メガネの男、国木田さんは僕に少年の隣に座るよう促し、ことの次第を説明してくれた。

僕は抹茶のケーキを食べながらその話を聞く。

「つまり、この少年は太宰さんを助けてくれたわけですね」

「そういうことだね」

うんうんと頷くこの包帯野郎を蹴り飛ばしたい衝動にかられるがなんとか抑える。

「中島敦くん、だっけ？ありがとね」

ちょうど食べ終わった敦くんは小さくごちそうさまと呟いてから私にはにかんだような笑顔を向けた。

「いえ、おかげで助かりました。もう茶漬けは10年は見たくない…」

「お前…」

「まあまあ国木田さん…」

起こる国木田さんをなだめる。


聞くところによれば、敦くんは孤児院から追い出されたそうだ。

なんでも経営が傾いたとかなんとか。

明らかにおかしい。

いろいろと思考を巡らせていたが突然何かを床に叩きつけるような音が聞こえ、我にかえる。

音の正体は、国木田さんが敦くんを叩きつけた音らしかった。

茶漬け代は腕一本か全部話すかとか物騒なことを言っている。

「ダメですよ国木田さん。それ完全に脅しです。尋問です」

僕は敦くんの前にまわった。そして、笑顔を向ける。

「じゃ、聞かせてもらおうかな？…君と虎の関係について」

「ひっ…！」

わあ、あからさまにビビってんね〜www

マフィア時代、この笑顔でビビんなかった敵はいなかったからなあ。


で、敦くんの説明があり、太宰さんが敦くんを金で釣った。←

彼を餌に人食い虎をおびき寄せる作戦。

まあ虎の正体は敦くんだろうけどね。

「Aも付いてきてね」

は？ふざけんな包帯野郎。

「どうしても行かなきゃダメですか？」

だって絶対僕が苦労してこの人がいいとこもっていくに決まってる。

これは今までの経験から学んだこと。

「駅前のケーキ屋の抹茶プリンでどう？」

「仕方ないですね早く行きましょう」


抹茶プリンはズルい。

月下の能力者→←設定

ラッキーキャラ

宮沢賢治

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す