▼ ページ6
.
「もう夏も終わりか〜」
翌日。
そう言うきりやんの言葉にしみじみとしながら、俺は最後の夏の日を、自分の家に二人を招いてソファの上で脱力していた。普段の日常と何ら変わりのない過ごし方は、なんとも俺たちらしい、と言うのが正解だ。
それでも夏の終わり頃になると、毎年思い出作りとしてバーベキューや少し遠くへの旅行を企画してくれる彼らはやはり優しい。
「もうきんとき行っちゃうの?」
「うん、本当はもっといたいんだけどね…こればっかりは」
名残惜しそうなシャークんに苦笑して、でも本当は次の夏が待ち遠しくて隠しきれない微笑みを作る。
このお別れが終わったら、秋神の所へ向かうつもりだ。そして季節を交代する。
渋々といった様子で帰り支度を始める彼らと、次会えるのはまた一年後か。
「また起きたら一番にいつものとこ来いよ?」
「ったりめーだろ、速攻で駆けつけてやんよ」
じゃあな、とグータッチを交わしたのを最後に、二人は家を出ていった。外へ出て、見えなくなるまで手を振った。
辺りはすっかり燃え上がるような夕焼けが広がっている。
鮮やかなオレンジと水色のグラデーションはどこまでも伸びていて、薄く飛行機雲が尾を引いていた。
__秋はすぐそこまで来ている。
アイツのことならもう目を覚ましている頃だろうか。
そんなことを考えながら、秋神の家まで歩くことにした。
46人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
秋乃みなと(プロフ) - 自由さん» コメントありがとうございます。受験は無事合格しましたので、お話を思い出しつつ書いていきたいと思っています。まだ読んで頂けているのならば嬉しいです。ありがとうございます! (2023年4月7日 1時) (レス) id: 323d0a35b0 (このIDを非表示/違反報告)
秋乃みなと(プロフ) - さくちゃんちゃんさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなりすみません。長らく更新をしていなかったのもあり、書き方を忘れてしまいましたが、ストーリーなど思い出せる範囲で少しづつ更新していこうと思います! (2023年4月7日 1時) (レス) id: 323d0a35b0 (このIDを非表示/違反報告)
自由 - はじめまして。初コメ失礼します!ほんとに子の物語り、私に刺さって感動です🤦♀️主様の受験勉強、今どうなっているのか分からないですが、もしお暇であれば続きを書いていただけると凄く嬉しいです🫶待ってます (2023年3月17日 1時) (レス) @page14 id: ff0084b57f (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃんちゃん - はじめまして!コメント失礼します\(_ _)ストーリーが大好きで3,4回くらい見てるかもしれません...ゆっくりでいいので頑張ってください!続き楽しみにしてます! (2022年11月13日 14時) (レス) @page14 id: d436cdacdb (このIDを非表示/違反報告)
秋乃みなと(プロフ) - いかすみさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです!これからも不定期ではありますが、ゆっくり更新して行くので気長にお待ち下さい! 勉強頑張ります! (2022年6月7日 21時) (レス) id: 480327bdf9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:秋乃みなと | 作成日時:2022年5月8日 10時