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真夜中を少し過ぎた頃。
いつもは一人で忍び込んでいる仕事に、今日は隣にスマイルがいた。出会ってから初めて俺の仕事を間近で見る彼は、いつになく目を輝かせていた。
「静かにしてろよ」
「叫んだって誰にも気づかれねぇから大丈夫だよ」
「まぁ確かに？」
そんなに見て楽しいものでもないんだけどな、と独り言のように呟いたのは彼の耳に届いたようで、「いいんだよ俺が見たいだけだから」と少し拗ねたような返事が返ってくる。
塀を登り、寝静まっている邸宅の屋根から天井裏へと忍び込む。幸い警報機は設置されておらず、天井板を一枚剥がすとそのままロフトへと滑り込んだ。
「豪華だよな。暴力団で人を殺ってばかりのやつなのに、金奪ってこんなでっかい家住んでさ」
趣味こそ悪いものの、奇抜な置物や買い揃えられた数々の貴重品コレクションがリビングにずらりと並んでいた。
ドクロのアクセサリーやらなんやら、ガラスのショーケースに無造作に並べられているコレクションを上から飛び降りてダガーを突き刺してやりたい衝動が沸き起こるが何とか我慢する。
今は仕事の方が先だ。
「じゃあ、ちょっと離れててよ。血とか飛ぶと汚いし」
これは俺なりの配慮だった。
寝室の扉に耳を当てる。中から音は何もしない。
そっとドアを開ける。そこには大きなダブルベッドの真ん中に手足を広げる巨体な男性が眠っていた。
静かに隣まで進み、ベッドに乗ると軋んだ音が出るかと怖かったが幸い無音で済んだ。
そして彼の心臓目掛けて、ダガーを構えて一直線に、思い切り___振り下ろした。
「ぅ、!?」
突然のことに彼の瞳が大きく開かれ、体がくの字に折れ曲がる。それでも押さえつけるように刃の根元まで深く沈み込むようにダガーを握り続けた。
「…」
しばらくして完全に動きをとめたことを確認すると、ゆっくりダガーを引き抜いた。血がとくとくと溢れ出す。
適当に置いてあったタオルで刃の血を拭うと、腰にしまってベッドから降りた。
「スマイル？」
そこで、気づく。
扉近くにいたはずの彼が、いつの間にかいなくなっていた。
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秋乃みなと(プロフ) - ゆんさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！心に残る文を書けていたなら嬉しいです...! 次回作でまたお会いできたら幸いです。本当にありがとうございました！ (2022年5月3日 7時) (
レス) id: 480327bdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 完結おめでとうございます。言葉選びや情景描写が大好きです。思わず泣いてしまいました。素敵な作品をありがとうございました。 (2022年5月2日 21時) (レス) @page24 id: 90a7e1b245 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋乃みなと | 作成日時：2022年3月20日 18時
