花 束 ((赤)) 3

bouquet 100 ページ13

そこでわたしは、目が覚めた。



どうやら、うたた寝をしてしまっていたらしい。




…残ったのは、苦しい胸の痛みと瞳から流れ出た涙だけ。






しあわせに、できたかな






…当たり前じゃない







あなたといて、しあわせじゃなかったことなんてなかった






あなたがいてくれるだけで良かったの








それだけでもう、満たされてたのに







わたしはこんなにもたくさんのしあわせを貰った。






…もう、十分よ








「…ありがとう、」







きっと、ひとりのわたしを心配して夢に出てきてくれたのね







大丈夫よ、わたし…覚えてるから、ぜんぶ。






ふらりと立ち上がって、わたしは花瓶に生けた花を撫でる。








もちろんそこにあるのは、バラの花だった。








「真っ赤なバラは…あなたを愛しています」






今でも、あなたのこと愛してる







「ピンクのバラは…愛の誓い」








ずっと愛することを、誓ったね








「9本のバラは…いつも一緒にいてください」






先に、逝っちゃったくせに





でも、夢に出てきてくれたから、許してあげる






「４本のバラは…死ぬまで気持ちは変わりません」







そうだね





あの日誓ったこと、わたしたち…守り抜けたね

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