花 束 ((赤)) 2

bouquet 51 ページ11

「あーっと…」




確か少し前、そう言ってくれたんだっけ


記憶を引っ張り出しながら考える。




「でもやっぱり申し訳無いですし…大丈夫です」




「俺が大丈夫やないの！」





少しだけ、怒ったように




わたしのデスクからファイルを取って隣の席に座る。






「椎名さんが帰るまで帰らんから！」




急いでパソコンを立ち上げて、ファイルを開いてる。




「おーくらさん、」




正直、結構な量があるし


彼に、甘えてみることにした。






「ありがとうございます」





にこっと微笑めば、一瞬めを大きく見開いた大倉さんが、そっぽを向く。






「や、そんな、お礼とかええしっ」




「だって、ほんと有難いですもん」




「〜はよ終わらせよ！」





なぜか少し顔が赤い大倉さんは、すぐに真面目な顔つきになって仕事を始める。




それにならって、わたしも仕事を再開する。





静かな室内で




カタカタと響くキーボードの音が心地いい。





大倉さん、打つのが早いから




わたしもそれに必死に食らいついて打ち込んでいく。




まぁ、すぐに追いつけなくなってしまったんだけど。




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『しーなさんいますかー』

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