雨の日にはアリスの傘を。((赤、緑))

umbrella 38 ページ38

「おーくらさん、手えおっきいっ！」






『そりゃ男やもん、Aちゃんよりはでかいで〜』







「えぇ、でもすばるは全然おっきくなかったですよ〜？」






あぁ、またすばるくんや





酔ってても、酔ってなくてもAちゃんが第一に考えるのはすばるくん








「背もちっこいし、脚もすっごく細いの。

わたしがいつも、太らそうと思って大量にご飯作ってあげてた」







酒が入ってるから、饒舌で




聞きたくないことまで全部、懐かしむように遠くを見ながら教えてくれる









『…でも、Aちゃん…すきや、ないんやろ？』









「すばるを？」








『うん』









「…すきじゃ、ないよ」









『その思い出も、過去の話やんな』









「過去、…そうだね。思い出、だからね」








ずるいってわかってる







Aちゃんは、すきやないんじゃなくて、すきやって言えないことも、わかってる






でも俺は、こんな切ない惚気なんか、聞きたないねん








もっと、君が知りたい






もっと、俺のことを見て欲しい







だから、だから…








.









.








.







.








.









『…すばるくんの、代わりでもええ。いつか、すきになってくれたらそれで良いから…』









『俺と、付き合って？』

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