雨の日にはアリスの傘を。((赤、緑))

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「…アリス、？」





Aも、“アリス”を知っとるから



ピタッと立ち止まって、振り返る







｢あっ…ごめん、名前知らんかったから…｣






「いえ、」





｢これ、昨日の…ありがとうな、｣








「あ、…」







まるで、TVを見とるみたいに




その光景を、ぼーっと眺めとった俺と、泣きそうなAの視線が交わる






…やっぱり、傘の相手って







『その傘っ…』







A、やってんな







.






.






『まだ、使ってくれててんな…』








「…」







『なぁ、A…「ごめんなさい」』









“やり直そう”そう、言おうとしたのに






Aは、NOと言うように言葉を遮って、出て行く





『Aっ…！』









待ってよ、やっと、会えたやん





俺、嫌やで…また会えへんくなるのなんか








「すばるっ！」







咄嗟に追いかけようとした俺を、ヒナが腕をつかんで止める









「あかん、…ダメや」







扉を開ければ、きっとAに追いつけるのに





その数cmが遠くて





ヒナを振り切ってでも追いかけようとは思えへんくて







伸ばした腕を、胸の方に引き寄せた









『A…』

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