第五松 ページ6
自己紹介を終えた私は、今日から私の部屋となった客間で黙々と片付けをしていた。
すると、ススッと麩の開く音が微かに聞こえてくる。一旦手を止めて後ろを向くと、麩が少し開いていた。
……絶対、今誰か覗いてただろ。
あまり気にせず、再び片付けに取り掛かった。
すると、今度は後ろから小さな声が聞こえてくる。
「もうこの際、地味子でいいや。口説いてこようかな」
「ぷっ、地味子とか言っちゃダメだよ。おそ松兄さん」
どうやら、おそ松さんとトド松さんが喋っている様だ。可笑しそうにくすくす笑っている。
誰が地味子だよ。今来てる服、白いTシャツに普通のジーパンだし、三つ編みに眼鏡だから確かに地味かもしれないけど、失礼極まりないよ。そのへんのモブおじさんにお前らの事売り飛してやろうか。
「おい、お前ら何やってんだ」
また別の声が聞こえてきた。
ん?この声は……チョロ松さんだろうか。
「げ、チョロ松兄さん」
「げってなんだ、げって」
「別にぃ?俺達の可愛い妹ちゃんを観察してるだけ〜」
嘘つけ、お前ら、私の事口説こうとしてただろ。つか、さっきまで地味子って呼んでた癖に何が可愛い妹ちゃんだよ。
「とにかく、Aちゃんの片付けの邪魔すんなよ?」
「わかってるよー。よし、トド松、パチンコ行こうぜ」
「うん、そうだねー」
「パチンコよりも仕事探せ」
どうやら、おそ松さんもトド松さんも出掛けるみたいだ。まだ何か言ってたけど、既に離れた場所にいた様で聞き取れなかった。
チョロ松さんが言った仕事探せという言葉である事を察す。
なるほど、二人共、ニートなんだね。
「Aちゃん、どう?だいぶ、片付けられた?」
チョロ松さんに声を掛けられたため、私は彼の方へ振り向いた。そして、「はい」と返事をした。すると、チョロ松さんが私の元に近寄る。
「後もう少しだね……よし!手伝うよ」
チョロ松さんはその場に座り、近くにおいてあるダンボールに付いているテープを剥がした。
「ありがとうございます」
私はチョロ松さんに礼を言う。彼の優しさに思わず口許が緩む。
──そうだ。思い切ってチョロ松さんに聞いてみようかな。
「あの、チョロ松さん。私のこと……覚えてませんか?」
そう訪ねてみると、彼は「えっ」と声を出してキョトンとした。
「ほら、私ですよ。今年の夏頃に、 貴方にアイドル事務所の場所を尋ねた……」
「……あ!も、もしかして」
37人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うみしおあいす(プロフ) - かい松さん» くそwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwありがとなwwwwwwwwwwww (2016年6月5日 16時) (レス) id: ade26a220d (このIDを非表示/違反報告)
かい松 - うわわ、文才ですね憧れちゃいます(><) (2016年5月28日 21時) (レス) id: 4ffcf40120 (このIDを非表示/違反報告)
うみしおあいす(プロフ) - カラ松ガールはカラ松にガマズミを送ったそうですさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけたようで良かったです! (2016年3月31日 8時) (レス) id: 19afaa44d5 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガールはカラ松にガマズミを送ったそうです - めっさおもろいね!! (2016年3月23日 11時) (レス) id: 94b65bf28a (このIDを非表示/違反報告)
うみしおあいす(プロフ) - アルカさん» コメントありがとうございます!いえいえ、そんなことないですよw変人いいね!最高w← 亀更新ですが、頑張って投稿していきますので楽しみに待っててください! (2016年3月22日 11時) (レス) id: 27d5391d71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うみしおあいす | 作成日時:2016年2月23日 20時