81ビート ページ35
81.
東京公演も終え、次は福岡公演。
…の、前日。
貴女｢わあ！絶景だね｣
美琴｢この旅館の露天風呂、博多の夜景が見れるって人気らしいです｣
私と美琴はカンパニーで貸し切った旅館の露天風呂に来ていた。
今日は福岡の劇場で場当たりをした後、明日に備えて早めに旅館にチェックイン。同室の美琴と大浴場にやって来た。
貴女｢んん〜気持ちいい…って、美琴もう顔赤いよ？逆上せるの早くない？｣
美琴｢あ、いえ…Aさんのスタイルがとてもいいなって…色っぽいと言いますか…｣
美琴は顔を真っ赤に染めてお湯の中にぶくぶくと顔を半分沈める。
貴女｢えぇ？ずっと踊ってるから筋肉ばっかりだよ。背も大きいし。私は美琴みたいに小柄で華奢な感じに憧れるなぁ｣
美琴｢そっそんなこと…！｣
ついに美琴はぱしゃんと頭まで潜ってしまった。でもすぐに出てきて、濡れた髪をそっと梳く。
美琴｢私、Aさんのことすごく尊敬してるんです。人が周りに集まってくる不思議な魅力というか、カリスマ性があって…だからみんな…小越くんも、｣
そこで途切れた言葉。続きは、言わなくても分かってしまう。
美琴は夜の海を見つめながら、ふ、と息を吐く。湯けむりに溶けていく心。
その下に現れるのは渇いた罪悪感か、最悪の恐怖か。
美琴のビートが、私の頭をかき混ぜる。
貴女｢美琴、あのね───────────…｣
その時だった。
小越｢うつりゆく時代 求められる武器のあり方｣
勇輝のよく通る歌声が聞こえてきて、私たちはぎょっと振り返る。
違う。隣だ。
高い仕切りの反対側が男湯らしい。どうやら向こうは勇輝ひとり。あまりにも綺麗な声だったから、私たちはくすくす笑いながら黙ってそれを聞いていた。
美琴｢おっ小越くん！｣
美琴大胆。壁越しに勇輝の返事が返ってくる。
小越｢…姫川さん？うわ、そっち女湯なのか…しまった…聞かれちゃったよね｣
美琴｢うん。すごく素敵だったよ｣
小越｢1人？｣
美琴｢Aさんと2人｣
貴女｢勇輝、その感じなら明日ばっちりだね｣
勇輝の笑い声が煙と混じって広がる。
小越｢福岡、いい場所だね｣
貴女｢うん｣
小越｢明日、頑張ろうね｣
勇輝は今、どんな顔でこの景色を見ているのだろうか。
隣の美琴の横顔と勇輝を重ねながら、私はうん、と頷いた。
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切れかけミサンガ(プロフ) - 伊澄さん» 初めまして！コメントありがとうございます！同じ境遇ですね笑 受験大変ですが、お互いに頑張りましょう！陰ながら応援させていただきたいです笑 そんなそんな！私はまだまだ駄文です！ (2017年4月17日 7時) (
レス) id: 7b9e52a361 (このIDを非表示/違反報告)
切れかけミサンガ(プロフ) - みゆみゆさん» こんちには、いつもコメントありがとうございます！本当に…じゅけんさなんてなくなってしまえばいいのに、と最近はそんなことばかり考えてるおります笑 舞台俳優さんのイケメンパワーでお互いに受験乗り切りましょう！ (2017年4月17日 7時) (レス) id: 7b9e52a361 (このIDを非表示/違反報告)
伊澄(プロフ) - はじめまして、いつも楽しく読ませていただいています！私も大学受験生かつ流司くんの小説を書いているという全く同じ境遇なのですごく分かります……私の場合流司連載は書き始めたばかりなので作者様には到底及びませんが、お互い頑張りましょうね！！ (2017年4月17日 0時) (レス) id: 3742e82f7c (このIDを非表示/違反報告)
みゆみゆ(プロフ) - 大学受験って大変ですよね、私も志望している大学に届くかどうか不安です。お互いに受験頑張りましょう！ (2017年4月16日 21時) (レス) id: a5448eda7b (このIDを非表示/違反報告)
切れかけミサンガ(プロフ) - 凜香さん» そうなんですね！お誕生日おめでとうございます！ささやかなプレゼントになれば嬉しいです笑 コメントありがとうございました、亀更新ですが頑張りたいと思いますので生暖かい目で見守っていただけると嬉しいです！ (2017年4月2日 8時) (レス) id: 7b9e52a361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：切れかけミサンガ | 作成日時：2017年2月28日 22時
