DANCE！2nd

73ビート ページ27

73.


貴女｢わぁ、軽い〜｣


勇輝からプレゼントで貰ったダンスシューズを履いて、自宅で飛び跳ねる夜の9時。


佐藤｢さすが勇輝だな…ちょ、ここで踊らないでテレビ見えない｣

貴女｢美琴は新作コスメ、樟太郎と有くんはコーヒーセット、健介はアロマでぴーちゃんは歌舞伎パック…ふふ、嬉しい｣


流司の隣に座って沢山のプレゼントを眺める。


貴女｢最近忙しくて誕生日なんて忘れてたな｣

佐藤｢ダメでしょ忘れちゃ。咲子さんの誕生日でもあるんだし｣

貴女｢ふふ、そうだね…サプライズびっくりしたけど嬉しかったよ、みんなでケーキ食べるのも楽しかったし。ありがとう｣

佐藤｢よかった。あ、コレ俺から｣


そう言って流司が差し出したのはラッピングが施された細長い箱。


貴女｢ケーキはサプライズしてくれたのにプレゼントはあっさりしてるんだね｣

佐藤｢いらないの？｣

貴女｢いただきまーす｣


それを流司の手から掠め盗って、丁寧に包装を剥がす。流司はその様子を隣で眺めていた。


出てきたのは、金文字で高級アクセサリーブランドのロゴが入った細長い箱。


思わず顔を上げて流司を見ると、流司は真顔で｢開けてよ｣と顎をしゃくった。


そっとフタを開ける。


入っていたのはシルバーのネックレス。先に付いた真紅の小さな宝石がきらりと光った。


佐藤｢アレキサンドライト·キャッツアイ。光源によって色が変わる魔法の石。石言葉は…｣

貴女｢秘めた想い、情熱、安らぎ。邪心や災いから身を守ってくれる宝石｣

佐藤｢俺のセリフ盗らないでよ｣


目の高さまで持ち上げて、じっと見つめる。


血よりも紅く、水よりも透明。


清光の色。


貴女｢綺麗…｣

佐藤｢つけたげる、貸して｣


鎖骨のくぼみのところにひやりとした感触があった。心地よい、石の冷たさ。


佐藤｢店頭で見かけてさ、コレだ！って思ったんだよね。Aに絶対似合うって｣

貴女｢ありがとう流司…すごく嬉しい｣

佐藤｢気に入ってもらえて良かった｣


胸元の石を撫でて、流司は満足げに目を細めた。


佐藤｢俺の時はこのブレスレットくれたからね。アクセ繋がりでネックレスにした｣


私が流司の誕生日に贈ったブレスレット、ずっと付けてくれている。


佐藤｢でも、それよりも｣


すっと流司が私の耳元に顔を寄せた。


ハスキーボイスが、耳をくすぐる。


佐藤｢悪い虫がつかないように。Aは俺のものだって、所有者のしるし｣

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