【青葉城西】いや、別にいいです。

別に 5 ページ5

国見side


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うちに新しくマネージャーが入ってきた




その人は1年の間でも結構有名で厄介な人だった





どうやら前の部活を強制退部させられた人みたいだ





及川さんがうちのマネージャーになにかされないかとか心配してたけど、今は満更でもなさそうに接している




偶然、だった





「ほれほれー、早くしないと練習始まるぞー」


『はーい。わかってまーす』




優美さんは石段に座りスマホをいじっていて、




Aさんはドリンクを振っていた





…あれは、一体どういう状況だ




俺の頭の中で一つの状況が出来上がった





優美さんがAさんに仕事を押し付けている、





でもだとしたらあんな和やかな雰囲気は醸し出さないだろう





そう、今優美さんとAさんは世間話をしている




Aさんは少し笑いながらドリンクを振っていて、




優美さんも笑いながらスマホをいじっていた





あれはいい状況なのか、悪い状況なのか





つい昨日の出来事を思い出しながら体育館に向かっていた俺





ポケットから塩キャラメルを出そうとした、が




ぽとり





『…あ、落としたよ、国見くん』



「…あの」



俺は無意識のうちに呼び止めてしまった



…せっかくだ、聞いておこうかな





『…なにかな？』



「Aさんって、仕事ひとりでやってますよね」



『うん。それで？』




そう当たり前のように返すAさんに俺は思わず目を見開いた



「それでって…」


『私は仕事が好きなの。バレーが好きなの。だから別に嫌なんて思ってないし、むしろ今がベストだと思ってる。』




仕事が好き…？


だからって自分のやったことを相手に横取りされることなんて、俺は少なくとも耐えられない




「…イヤとかではないんですか？」


『まぁ普通の子なら怒り狂ってるだろうね。でも私ちょっと新種だからさ…仕事中毒？』


「ほんと、新種すぎて引きました」


『国見くんって意外と酷いね』



今思うと、Aさんとこんなに話したのは初めてかもしれないな、なんて



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