冨岡と社畜 ページ9
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静かな寝息だけが聞こえる病室では、青白い顔の女が眠っていた。
...胡蝶が言うには、口を開くと混乱した様子で震えた声、体で淡々と謝罪と許し乞いをしていて名前すら聞けていないと言う。
眠る顔は幸せそうだが、顔色は悪い。...そしてなにより、重ねに重なった傷が多い。見れば見るほど、そういうことなんだろうと検討がつく。
....痕が残りそうな傷だ
気がつけば、俺は眠っている女の頬の傷を撫でていた
『...ん』
するとそいつは蕩けたように笑い、俺の手に擦り寄ってきた。
「....」
無言で頬を添えたまま固まる。....なんだ、今のは
刹那、ぴくりと震える感覚が手のひらを走る。...目を開けたのか
「......すまない」
『...ひぎゃあ!?』
声を上げ勢いよく起き上がる。
そいつは俺の顔ではなく服を見て、しばらく凝視して固まる。
すると思い出し方のように震え出した。
『すみませ、すみません、ころさないで、ください...!』
必死に頭を下げ震えた声で謝る。
...胡蝶の言ったことは、合っていた
体と声を震わせ必死に許しを乞う姿はやはり
問おうとした、が、顔を見てすぐやめた
「!....いや、すまない。...呼んでくる」
泣く女を問い詰めるほど俺は酷くない。
(胡蝶を)呼んでくると彼女に伝え、離れようとした時
ぎゅっ
『......ぁ』
「......」
俺の羽織の裾を握り、止められる
『ご、ごめんなさい、あの、ぃ、いかないで...!』
「......わかった」
...悪い胡蝶
起きたら直ぐに呼びにいくと言ったが、無理らしい
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―――
ここで言葉が足らない、間違える人達の正しい解釈
「すまない」→(男が苦手なのに勝手に触って)すまない
「....いや、すまない。...呼んでくる」→(泣いているのか)....いや、(ここは問うべきではない。泣かせてしまって)すまない。...(胡蝶を)呼んでくる
『いかないで』→混乱しすぎて呼ばないでと言い間違える。しかし自分の中では呼ばないでと言っていると思っているからもう救いようがない
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蛍 - とても面白いです!これからも応援してます! (5月1日 19時) (レス) @page25 id: 55105da247 (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - 最高です!勘違い度高めなの天才的だと思います! (3月1日 21時) (レス) @page25 id: 114c51d1cf (このIDを非表示/違反報告)
ほしの - 初コメ失礼します…!こんなに楽しく読めたのは初めてです、私は貴方様の書く作品がとても大好きです!!これからも応援してます! (6月23日 5時) (レス) @page25 id: 924d54da23 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - また更新されるのを楽しみにしてます! (2022年8月6日 21時) (レス) @page25 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - お、終わりなんですか、、、? (2022年7月27日 21時) (レス) @page25 id: 6c54ce0ff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文香 | 作成日時:2019年10月6日 3時