8UPPERS 1 (ページ33)

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それから数か月、やっとエースとしての役割をちゃんと彼が果たせるようになったころだった。

エースの元に一本の電話がくる。

その電話を聞いたエースは慌ててバーを出て行った。

予定より早く待ち合わせ場所にエースは到着する。

「○○！」

ベンチに座っていた背に声をかける。

呼ばれた男、○○、渋谷がゆっくりと振り返った。

「久しぶりやな…つか、○○から俺呼び出すとか初めてちゃう？」

エースが渋谷の隣に腰かける。

渋谷も施設にいた子供だった、こうやって会うのは久しぶりな気がする。

渋谷がエースを見ながら、低い声でお前…と呟いた。

「ちょっと雰囲気変わったんとちゃうか？」

「…え？」

「根本的なとこは変わってへんけど、なんか丸くなった気ぃする」

「そう？あー実はな！定職ついてんそれがめっちゃカッコよくて…ってちゃうわ！今は○○の話やん！」

なんかあったんか？とエースが渋谷の顔を覗き込んだ。

「…自衛隊、やめてん」

エースは少なからず驚いた。

渋谷は上級生からエアガンをもらったことをきっかけに、ミリタリーグッズ○○めり込んだ、いわば武器オタクだ。

武器を持てることをやっていたいと、入ったのが自衛隊やった。

「自衛隊きつかったとか？」

「ちゃう、なんか…ここにおるんはちゃうって思ってん…けどやめたらやめたで、やっと掴んだチャンス、全部手放した気になってな…」

ベンチの背にもたれる渋谷。

行き場のない彼の手が、銃を握るような形になっていることにエースはすぐに気付いた。