○疑われてる？ ページ15
・
朝がきた。
という野生の勘が働いて目が覚めた。
体を起こして、古ぼけた壁にかかった時計を見ると、長針はちょうど6を、短針は6と7の間を指していた。
6時半か。
実に健康的な時刻。私の体内時計はとても優秀だったようだ。
早くもなく、遅くもない、良い時刻だ。
怪我の確認は…今じゃなくてもいいか。
今日の診察で、回復薬の効果が否が応でも分かる。
その時が来るまで、ボーッとしてようかなあ…。
〈――話し相手くらいになら、なってやるぞ。〉
「…そうだった。」
私は、見知らぬ土地にいても、決して一人じゃなかった。
――コンコン。
扉がノックされる。
「どーぞ。」
と言うと、ゆっくりと扉が開けられた。
「…早いな。」
おはよう、と言うイトウは、朝が弱いのかゴシゴシ目をこすりながら部屋に入ってきた。
白衣を羽織り、片手には朝ごはんの載ったお盆、もう片手にカルテ。
診察の後にご飯を頂けると、そういう事でいいのだろうか。
イトウはお盆を扉の横の机の上に置くと、その隣にある救急箱を取り、いつものイスの下に置いた。
「よっこらせ…。」
いやジジイか。
と思わず突っ込みたくなる声と共にイスに腰かけるイトウ。
「んじゃ、今日の診察始めるぞ。」
昨日と同じような質問を昨日と大体同じように答える。
傷は昨日より痛くない、他に痛いところはない、違和感もない…。
「ふむふむ…じゃ、傷の具合確認して、包帯も交換するか。すまんが、服脱いでくれ。」
私はそれに頷く。
怪我した左腕を庇いながら、そろそろと慎重に脱いでいく。
「よし、じゃあ診るぞ…。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あずき(プロフ) - キュラーさん» キュラーさん、コメントありがとうございます！そうですね、いずれは四天王も全員出します。ですがまだまだ先は長いので、気長にお待ちいただければ嬉しいです！ (2020年4月26日 13時) (
レス) id: 678c2a0d04 (このIDを非表示/違反報告)
キュラー(プロフ) - これ好きやわぁ〜〜、、、更新頑張ってください！四天王の四体もいつかは出すんですか？ (2020年4月26日 12時) (レス) id: 722c4617d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あずき | 作成日時：2020年3月28日 17時
