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「おい、Aヌナを離せ」
よし、よく言ったぞチャン
震える拳をそっと隠して言葉を続ける。
「早く彼女を離せって言ってんだよ」
『ディノさん、、』
「あ？誰だお前」
「ディノさん、、！？」
「あー、お前最近人気出てきてるSEVENTEENってグループのやつ？威勢があっていいね〜笑」
「い、今すぐ離して、！」
「は？なんだよ今更そんなこと言って」
「いいって言ってるじゃない！私の居場所がなくなっちゃう！」
「そんなこと知るかよ！！」
女たちが言い合いをしている隙にAヌナを引っ張って自分の腕の中に閉じ込める。
小刻みにカタカタと震えるAヌナを見て怒りが湧き上がってくる。
「Aヌナ、もう大丈夫だからね。クプスヒョンたち来てくれるからね」
子どもをあやすように背中を優しく撫でながらそう言った。
その言葉を聞いたからか、Aヌナの目から大量の涙が溢れ出た。
「A、ディノ！大丈夫か！」
「クプスヒョン、僕たちは大丈夫です」
「お前なんでこんなところにいるんだよ」
「あ、、」
クプスヒョンたちの顔は長年一緒にいる僕ですら怯んでしまいそうな程、怖い顔をしていた。
女は言い争いをやめてこちらに振り返った。
その顔は今までとは一転して、酷く青ざめている。
「あんた、俺らの事務所から追い出されたやつだよな？」
「こんなところで何してんだよ」
「わ、私はその、この人たちにやれって言われて、、！」
「は？やれって言ったのはお前だろ！！」
「そんなことはどうでもいい。警備員さん、こいつらお願いします」
「今回だけ見逃してください、お願いします、！」
「今回だけ？あんたさぁ、俺らにあれだけのことしてきたのに今回だけとか何馬鹿げたこと言ってんの？」
「そんな、、」
「あの時、二度と現れるなって言って誓約書まで書いたのにね。残念だよ」
「...何よ、全部あの女のせいじゃない！！」
「Aは関係ないだろ」
「その女が私の立場を奪うからよ！」
「話はあとで聞く」
「やめて！離して！」
女はその後もぎゃーぎゃー騒ぎながら警備員に連れて行かれた。
クプスヒョンたちを呼んでよかった。
僕一人だったらどうしようもなかったと事が終わってから気付かされた。
それと同時に自分が無力すぎることに腹立たしさを覚えた。
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作者名：みちょ | 作成日時：2024年1月2日 2時
