儚き天使【賢者の石】 (ページ26)

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『…ねぇ、ポッターの箒の動き、おかしくないかしら』

「あいつ、あんなに下手なのにシーカーになったのか」

「やっぱりダンブルドアの贔屓だったんじゃない？」

ドラコとパンジーは、分かりやすいほどに顔を顰めたが、Aの視線はハリーではなく教師のいる観戦場に向いていた。

いくら箒が下手だからと言って、あの動きはおかしいと気付いていたようだ。

『もしかして…』

そう呟くと、Aはいきなり立ち上がり、走り出してしまった。

ドラコとパンジーは驚いていたが、すぐに足元にあるそれぞれの道具を持って追いかけていった。

そして同時刻、グリフィンドール寮生であるハーマイオニーも、Aと同じ場所を目指して走り出していた。

「A！どこに向かってるんだ？！」

『先生たちのところよ、魔法を止めさせるの』

「魔法？先生達がポッターに魔法をかけてるっていうの？」

『えぇ、先生たちじゃなくて、多分、1人だけれど』

「じゃあ私がそいつを殴ればいいのね？」

『いいえ、その必要はないわ。私がする』

「どうやって止めるか決めてるのか？」

『色仕掛けよ』

Aがそう言うと、ドラコとパンジーが同時にこけた。

『…大丈夫？』

Aが手を出すと、パンジーが素早く握り、勢いよく顔を上げた。

「色仕掛けですって？！」

『わ、ビックリした…』

「流石に色仕掛けはだめだろ！Aには色仕掛けできるほどの魅力はあるが、もしそれに引っかかる教師達がいたとしたらただのロリコンだぞ！」

パンジーに負けじと勢いよく声を荒げたのはドラコだった。

慌てている2人とは対照的に、Aは少し微笑んでいる様子だった。

『私の色仕掛けに、唯一引っかかってくれるロリコンがいるでしょう？』