【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君 4

178話 ページ31

千歩位譲って乱歩さんが居るなら未だマシだった

でも糞上司一人だけとなると……帰り道とか絶対二人きりになるじゃん

うわぁ、面倒……


更に加えてしまえば、太宰さんの所為で殴り合いも終わっちゃったし




「如何した少年。もうお終いか？」


「…貴方には、軍警に行って貰わなきゃならないので」


「あぁ、そうだったな」




と云うのは建前で、本当は此れ以上怪我なんてものをしたら解体(バラ)される気しかしないからだ


何時の間にか虎化が解けていた手を少し広げたり閉じたりして確認しながら携帯電話を探る

あー、何処にやったっけな




「其れなら私が呼んだよ。後五分すれば着くだろうね」


「えっ？」


「其の男、捕まえるのだろう？」


「はい。有難う御座います」




随分と用意周到……あ、そっか。店主が死んでたからか




「後は僕が遣るので、太宰さんは先に探偵社に戻って大丈夫ですよ」


「…否、私も残ろう。話したい事が増えたからね」


「…？」


「ま、今ではないのだけれど」




うっわ最悪

亦あの人根掘り葉掘り訊く心算だよ


此の間の居酒屋で少し位学習して欲しかったんだけど…
え、此れって白地(あからさま)に厭な反応しなきゃ気付いて呉れないの？

な訳ないじゃん。だってあの太宰治だよ？多分察してるって

じゃあ何だ、被虐嗜好者(マゾヒスト)だったりするの？

…妙に納得出来るからそういう事にしておこう






あ、そうだ。軍警が来る前に確認しなきゃ


男の方に視線をやると、男も此方に気付いたみたいに目を向けた




「…止まったら、如何なりますか？」


「？」


「…一連の流れを終えたら、此方に来るだろうな」


「そうですか」




其所迄訊けば、男は少しだけ考えたように口を閉じた


視界の隅に映る太宰さんはまるで判らない様な顔をしていたけど、其れで良い。好都合だ

寧ろ隠して話しているからさ




訳してみるとこうだ。


死んだら如何なるか？

葬式やら埋葬やらが凡て終わったら、本体(からだ)が此の世界に来るだろう



……もう、死んでるのかな

其れすら判らないから如何すれば良いか…



思考に意識を向けていたら、外から警笛(サイレン)が聴こえて、複数人の足音がバタバタと近付いて来たかと思えば、威嚇の為に所持していた拳銃を手に入って来た




あ、未だ訊きたい事が…




「正すには如何すれば？」




拘束された男は通った声で一言だけ口にした






捜せ＿＿＿

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