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151話 ページ4

私がこの短時間で考えていた事を話せば乱歩さんは複雑な顔をした

何故そんな顔をするか……だなんてのは愚問なのだろう




「乱歩さん。あの…」


「前回もそうだけどさ、何で重傷を負ってるのに君の異能は発動されないの」


「え、あ、あぁ」




急に話を変えるから思わず吃ってしまった

それに未だに複雑そうな色を見せてるから余計反応に困るが、答えない訳にもいかない


この件に関しては私なりに答えが出て居るから比較的喋り易い




「多分ですけど…」


「うん」


「この躰が敦の物だからだと思います」


「…成る程ね」




私が異能を解除出来ないのも、治癒能力を発揮する事が出来ないのも

私が第三者であり、主体が敦であるからだと私は思って居る


だから敦と共闘している時に限り異能の自由が利くのだと解釈してる


躰を操作して居ると云えど他人である事に変わりない




「そんな事より問題は、何故彼は私を生かすのか、という事です」


「そんな事、云わないでよ」




そんな事云われても…




「だって善く考えたら不可解なんですよ。先ず最初に来るのは、何故私なのか。だって他にも相応しい人間が居た筈なのに」




私は優しくないし、割と自分本位だし、正義感も強いと云えばそうでは無い

それに私は非日常を体験するのは好きだけど、飽きて退屈したらそれで終わりだ



もっと他に生きたかった人は沢山居た筈なのに

何でこんな中途半端な人間を……




「そんな事無い!君には、他に沢山魅力が…」


「在ったとしても此処に存在している理由にはなりませんよ」




貴方も判って居るでしょう?


そう云えば再び複雑な表情を浮かべ、黙り込んでしまった

一つ違うのは先刻よりも眉間の皺が深く彫られて居る事だけ


そう。詰まり云えば、彼もその事は重々承知して居るのだ




「私はね、乱歩さん。痛いのも苦しいのも嫌いなんですよ」


「え…」


「でも消える為だったら…死ぬ為だったらそれ位、我慢出来るんです」




そう云えば乱歩さんはポツリと何か呟いた

だが生憎と私の耳には届かなかったから反射的に聞き返したら目をカッと開いて綺麗な緑色の瞳を此方と合わせる




「駄目!我慢するな!そんな事するな!そんな悲しい事云うな!!僕が如何にかして二人が残れる方法をさが……」


「躰ってのは、一人一つです」


「ッ!だとしても……!」


「無理ですよ。きっと」


「ッ!何で君はそう、遣る前からッ」




誰だって躰は一人一つなんだ

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眠いちゃん - 敦君と夢主ちゃんが報われることを願います (2023年2月26日 23時) (レス) @page35 id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 面白いです!続きが更新されるの待ってます。頑張ってください。 (2020年10月3日 22時) (レス) id: 91e5b79796 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 久しぶりの更新めっちゃ嬉しいです!! これからも更新頑張って下さい!! (2020年3月5日 9時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 更新お疲れ様です!毎回毎回、星の一番右を押してしまって「既に投票済みです」って言われてしまいます笑徐々に主人公が自分自身について知っていく…これからどうなるのかすごく楽しみです。次回の更新までまってます!!がんばってください!!!! (2019年10月13日 9時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - うおおお、、、!!!更新されている……!!!嬉しすぎる、、、!! (2019年9月14日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のんのーー | 作成日時:2018年4月22日 20時

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